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まるで漫画家の桃源郷!中国に現れた「トキワ荘」 食事つき、給料も
漫画産業が急速に成長している中国に、漫画家を集めた「トキワ荘」のような場所があります。住民の漫画家は、1年365日、漫画に集中できる環境で、仲間と交流しながら腕を磨いています。いったい、どんな人が、どのように暮らしているのか。住民に取材してみました。
「中国漫画家村」は、中国で漫画のプロデュースを手がける「翻翻漫画(ファンファン漫画)」が運営しています。
「村」は丸ごと一棟のビルで、現在、約70人の漫画家が仕事場として使っています。1階はコーヒーなどが飲める休憩所になっていて、お昼ごはんや晩ご飯も提供しています。
そして広いスペースの図書館も備えており、そこに名作から最新版まで、大量の漫画がそろっています。
「ファンファン漫画」は、新人発掘のために日本の集英社と連携して「新星杯」という新人漫画コンクールを開催しています。「新星杯」を受賞した作家の作品は『ウルトラジャンプ』、『ジャンプSQ』『ジャンプNEXT』、『少年ジャンプ+』など、日本の雑誌や漫画アプリに掲載されてきました。
「村」には、「新星杯」受賞者や「ファンファン漫画」がその素質を認めた漫画家の卵たちが入居者として選ばれます。入居中は、すでにデビューしている漫画家のアシスタントをつとめることで給料がもらえ、編集者のアドバイスを受けながら一本立ちを目指します。
なぜ、このような「漫画村」ができたのでしょう?
中国の多くの漫画家は、普段、仕事場で黙々と作業に打ち込み、出来上がった作品を出版社などに持ち込みます。編集者にダメ出しされると、また部屋に戻り、修正する毎日です。原稿料も安く、多くはアルバイトを掛け持ちしながらの生活です。
「漫画村」は、こうした孤独な作業によるプレッシャーや、生活費の負担などから有能な人材が埋もれてしまうのを防ぐために生まれました。
行政も後押ししています。漫画産業に力を入れる杭州市が税金などで優遇し、2014年11月に第1号が杭州市余行区良渚文化村に建設されました。
現在では、北京、重慶、広州、武漢などにも拠点があります。
漫画家・麻雀(マ・チウェ)さんは広東省出身の24歳です。ちなみに「麻雀」は中国語でスズメの意味です。麻雀さんは2014年に入居しました。
漫画家村に入居している人は、「漫画家」(普段「先生」と呼ばれる)、と漫画家の卵で「助手」の2種類に分けられます。現在、連載を持っている麻雀さんは、スタッフから「麻雀先生」と呼ばれています。
そんな麻雀さんも、入居当時の身分は助手でした。
「漫画家村に来る前は、ファンファン漫画の漫画雑誌に投稿していました。そこで、認められて声をかけられました。生活費や原稿手当をもらえながら、好きな漫画を描けることは、デビュー前の漫画家にとって、とても魅力的でした」と振り返ります。
プロの漫画家の元で助手として働いた経験をいかして、自分でも長い作品が描けるようになったという麻雀さん。
中国の大人気小説『盗墓筆記』の原作者から指名を受け、同作の漫画シリーズでデビューを果たしました。
「ほかの漫画家と仕事以外の話をしていると、時々『脳洞が開いた』(=自由奔放な発想で、いいアイデアがわき上がる)と感じるんです。気が合う漫画家同士で切磋琢磨することで、いい作品に仕上がっていきます」と話します。
漫画家村の住民にとって、日本の漫画はあこがれです。麻雀さんも『ドラゴンボール』(中国語『龍珠』)、『ナルト』(中国語『火影忍者』)、『デスノート』(中国語『死亡筆記』)などを愛読してきました。中国の出版社の編集者にも日本の漫画のファンは少なくありません。
中国で何人もの漫画家を育ててきた漫画家村は、2016年12月、日本にも誕生しています。
日本の漫画家村を運営するのも「ファンファン漫画」です。東京都文京区のマンションを「村」にして、年齢や国籍を問わず住民を募集しています。この海外初進出となる「漫画村」。実は、麻雀さんも心が動いたそうで、「中国で優秀な漫画家として力を蓄え、将来的にはぜひ日本でデビューしたい」と語っていました。
日本の漫画家村では中国人と日本人のベテラン編集者から専門的なサポートが得られます。ここでは、日中、両方の市場を見据えたグローバルな活躍を目標にしているそうです。
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