• 誓約書の内容は
• もひかんさんに聞く
• 「嫁さん」に聞く

　通勤に使っていた原付きバイクが壊れた42歳の夫。自転車通勤を覚悟していた時、妻から「我が家の全財産です。これで新しい単車を買って」と、へそくりと『誓約書』を手渡されました。「寝る前のマッサージは15分＋気持ち」「おしっこは座ってやる」といった小言が5つ並んだ後、最後に「たまには後ろに乗せて」の言葉が。ネット上では「こんな嫁さん羨ましい」と話題になっています。誓約書を用意した妻と、そこに署名した夫に話を聞きました。

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壊れてしまった愛車「身の丈1号」 出典： もひかんさんのツイッターより

「家族会議」のもひかんさん

　誓約書に署名したのは、大阪郊外で運送会社に勤めている「もひかん」さん。もひかんはツイッターのアカウント名で、毎月アップしている「家族会議」議事録が話題になる有名人です。

　交通事故を起こしてしまったのをきっかけに、昨年10月から月1回開いている家族会議。毎月の目標を決め、結果をふり返り、目標とは別の議題も話し合っています。

　最新の11月度の議事録では、「今年こそサンタに会うために」と題して、サンタを足止めしたり捕まえたりする手段について家族で議論。毎回ユーモラスな内容で多くのファンがついています。

2016年8月度の家族会議議事録 出典： もひかんさんのツイッターより

帰宅途中に突然壊れた

　愛車「身の丈1号」が壊れたのは先月25日、帰宅途中のことでした。異音の前兆があったので、2日後の休みの日にバイク屋で見てもらおうと思っていた矢先の出来事だったといいます。

　その時の思いを、もひかんさんはツイッターでこうつぶやいています。

　「身の丈1号が逝きました。恐らくカムチェーン不具合からのオイル循環不良で焼付きです。通勤の為に新聞屋から譲って貰い嫌々乗ってきたカブも、ちまちまイジってたら10年経ってました。アホ程いろんな単車に乗ってきたけど、こんなに名残惜しい事は無い。腰下をバラす時間も金も無い」

　妻に事情を話すと、へそくりとともに誓約書を手渡されました。文面はすでに埋まっていて、あとは署名するだけの状態でした。その日のことを、こう投稿しています。

　「嫁さんが改まった顔でタンスの奥からヘソクリと『我が家の全財産です。これで新しい単車を買って明日からも出勤して下さい』という言葉を添えて差し出してくれました。大切に乗りたいと思う気持ちに拇印を突かされました。人生13台目の単車がやってきます。ありがとう」

かつて「身の丈1号」が故障し、自転車通勤した時の写真 出典： もひかんさんのツイッターより

誓約書の内容は

　誓約書に書かれていた文章は以下の通りです。

　誓約書

　私はママのヘソクリでホンダGROMを買いました。
　以下の約束を守る事をここに誓います

　・おこずかいは平成30年12月まで2万円
　・寝る前のマッサージは15分＋気持ち
　・おしっこは座ってやる
　・カゼの時に高熱アピールしない
　・かずとよが成人するまで大切に乗る
　（不必要な改造をしない!!）
　・たまには後ろに乗せて

　平成28年11月27日
　（もひかんさんの署名と拇印）

　11月27日にツイッター投稿されたこのやりとりに対し、「素敵過ぎて鼻血出ました」「最後の一文が可愛くて愛があって良い」といった反応が寄せられており、リツイートは2400、「いいね」は5700を超えています。

もひかんさんの妻が用意した「誓約書」 出典： もひかんさんのツイッターより

もひかんさんに聞く

　へそくりを手渡された時、もひかんさんはどんな思いだったのか？　話を聞きました。

　――通勤に使用していたのですか

　「はい。自宅から山を二つ越えた勤務先までの通勤に、毎日10年間使用しました。故障してからは、嫁さんが仕事休みの日は送り迎えしてもらい、そうでない日は自転車で通っています。40歳超えてからの往復4山はキツいです」

　――新車はすでに購入されたのですか？

　「4日の日曜日に納車されました。初めて単車の後部座席に乗れることを、息子がとても楽しみにしています」

　――へそくりを渡されることを想定していましたか

　「いえ。恥ずかしながら、家族会議のキッカケにもなった業務上の事故の弁済に全てまわされていると思っておりました」

　「10年前に譲ってもらった身の丈1号は、その時点で新聞屋に酷使された単車でしたので、幾たびもトラブルがありました。その度に自分で直しながら、それとなく嫁に次の単車アピールを続けてきました。ただ、今回のような突然の故障に、家計を把握しているつもりだった私は購入など思いもよらず、自転車通勤を考えて疑いませんでした」

妻のへそくりで購入したバイク「GROM」。4日に納車されたばかり 出典： もひかんさん提供

「お恥ずかしい限りです」

　――へそくりと誓約書を渡されたときの気持ちは

　「本当に全財産というのは理解できるので、嬉しいというよりは、購入してよいのか随分と悩みました」

　――誓約書の文言で気になった点は

　「風邪の高熱アピールですね（笑）。思い返せばすべての風邪でしんどいアピールをしてきましたので、猛省しております」

　――「嫁さん」の行動が話題になっていることについては

　「お恥ずかしい限りです」

　――「嫁さん」へメッセージをお願いします

　「薄給で、結婚してからも迷惑ばかりかけていたことを、とても申し訳なく思います。恐らく自身のパートの給金から少しずつ捻出していたのでしょう。財産はいったんゼロになりましたが、これからも頑張りますので、よろしくお願いします。あと、マッサージ毎日はちょっとしんどいです」

トイレットペーパーがすぐなくなるため、もひかんさん専用のホルダーが設置された 出典： もひかんさんのツイッターより

「嫁さん」に聞く

　誓約書を書いた「嫁さん」は、どんな思いだったのか？　もひかんさんを通じて聞いてもらいました。

　――誓約書の文言を考える上で工夫した点や苦労した点は

　「ありません」

　――「これは特に守ってほしい」という点は

　「マッサージをちゃんと毎日して欲しいです」

　――書き上げるまでにかかった時間は

　「10分です」

　――バイクを買わないという選択肢はあったのでしょうか

　「ありませんでした。酒もギャンブルもしないので、せめて通勤に使うバイクぐらいは好きなのに乗って欲しかったんです」

　――ネット上で称賛されています

　「かゆいです」

　――もひかんさんへメッセージを

　「事故らないでね」

妻が「バイク代に」とへそくりを…　『誓約書』に込めた笑いと愛とは

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