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新入幕・最軽量で8勝 石浦、挫折の過去…入門せず一時、海外へ
大相撲九州場所で新入幕の石浦(宮城野部屋)が観客をわかせています。初日に敗れましたが8連勝。幕内最軽量ながら気迫の取組が光っています。実は、過去に相撲をやめようと思ったこともあるという石浦。進路に迷って訪れたオーストラリアで再び相撲に目覚め、帰国して入門。迷いを振り払った決意が、彼を強くしていました。
今場所、新入幕の石浦は身長173センチ、体重114キロ、幕内では最軽量の力士です。
持ち味は素早い立ち合いで、5日目には、体重が80キロ重い逸ノ城を下手投げで勝利。21日の9日目には、低い立ち合いから北勝富士を一気に寄り切って、勝ち越しを決めました。
9日目を終えて、横綱鶴竜が無敗、1敗は白鵬と日馬富士の両横綱と新入幕の石浦。優勝争いに加わる健闘に、観客からの期待は高まっています。
石浦は高校相撲の強豪・鳥取城北高校出身です。父親は相撲部総監督の石浦外喜義さん。生まれた時から、周りには常に相撲がありました。離乳食はちゃんこだったといいます。
自宅の隣は鳥取城北高校相撲部の寮。幼稚園児の頃から、自然と相撲を始めました。
高校卒業後は日大相撲部に進みましたが、3年の時にレギュラーを奪われ、内臓の病気にもかかり、稽古に身が入らなくりました。
進路には迷いに迷いました。好きな総合格闘技への道も考えたといいます。「当時はふわふわしていた。もう相撲はいいかなと思った」と石浦は振り返ります。
2012年春、相撲部屋ではなく、オーストラリアへ飛びます。語学留学でした。土俵から離れ異国の地で過ごす日々。寮に一人でいる時、インターネットで見ていたのは、やはり大相撲中継でした。
パソコンの画面の中では、高校の同学年の山口(当時は大喜鵬)らが角界で結果を出していました。
日本人がいない土地で気づいたのは、相撲への思いでした。
「やっぱり自分は相撲が好きだし、自分には相撲しかない」
オーストラリアでの経験で、気持ちの整理がついたといいます。さっそく、現地で本格的な稽古をスタートし、夏に帰国しました。冬には横綱白鵬のいる宮城野部屋に入門し、みずからの相撲を磨いてきました。
「あの時の決心から始まった」。かつて石浦は大相撲に行くと決めたオーストラリアでの日々をこう振り返りました。あの時の決心から4年、力士にとって最高の舞台で大きな飛躍をとげています。
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