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あらゆる「種」を食べてきた中国人が教える美食体験 皮まで愛せ!
中国では、食用の種が人気で、池袋や上野の中華物産店でも手に入ります。鳥やハムスターの餌だというイメージが強い「種」ですが、栄養が豊富で味も悪くありません。あらゆる種を食べてきた中国に学ぶ、種の美食を体験してみませんか?
中国では種のことを「瓜子」と言います。瓜科の植物の種は基本的にすべて食べられます。
食用とされている種は、かぼちゃ、スイカ、ひまわり、ゴーヤ、冬瓜、キュウリ、ヘチマがあります。薬用効果があり、漢方で使われることもあります。日常的によく食べられているのは、かぼちゃ、スイカ、ひまわりの種です。
中国では街頭で量り売りをしていたり、パックされたものがスーパーに並んでいたりします。
調味料を使わない「原味」と、八角・山椒などの香辛料を使う「五香」があります。スイカの種は、醬油味も。最近では、かぼちゃの種に緑茶味や紅茶味をつける新商品も出ています。
種は栄養価が高い食品として知られています。
アメリカのジョン・ホプキンス大学医学部の研究員で、栄養学に詳しいイン・シーリン(Yin Xiling)博士によると、ひまわりの種には蛋白質・カリウム、リン・カルシューム、マンガン、ビタミンEとビタミンB1が含まれており、レシチンも豊富です。
カリウムは高血圧の予防効果があり、ビタミンEは肌を若々しく保つ効果があります。そしてレシチンは血管を保護する効果も期待できるそうです。適度に摂取することで、健康維持に役立つそうです。
ただし、注意事項も。種には多くの油分が含まれているため、食べ過ぎると、肝臓の負担をかけることになります。イン博士は「皮も固いため、歯への影響もあります。量はほどほどにするのがコツです」と話します。
そもそも、中国では、なぜ種を食べるようになったのでしょう?種を食べる習慣は明王朝(1368-1644)までさかのぼることができます。当時は主にスイカの種を食べたらしく、その後は清王朝ではかぼちゃの種が流行り、民国(1912年以降)の時代にはひまわりの種が主流になりました。
種を食べる習慣は、中国の北方地方が起源だとされています。中国の北方は冬が長く農耕ができません。家のなかで寒さをしのぐ時に種を食べるのは時間つぶしにも最適だったと言われています。
本場中国の種は日本でも買えます。上野や池袋の中国の食材を扱い店にはたいてい置いています。ひまわりの種は1パック·260グラムが350円で、スイカの種は300グラムで500円で買えます。
上野の中国物産店によると、種を買うお客の99%は中華系(中国大陸や台湾)で、女性が多いそうです。日本人はめったに買いに来ませんが、たまにお酒の肴にしている男性客もいるそうです。
種に慣れていない日本人が、味わう際の注意点は?それは皮です。たいていの日本人は種をそのまま食べてしまいます。食べる前に、皮を割る必要があります。
まずは、前歯あるいは奥歯を使って、種の皮を割ります。そもそも、「種を食べる」の中国語は「嗑瓜子」といいます。種を前歯でかみ割る動作が「嗑」です。
次に、そこから種の実を取り出し食べます。正しい方法で食べると、より「美味しく」楽しめます。
ただ、種を皮をむくのはけっこう難易度が高いです。初めて食べる日本人にとっては、きれいに皮をむけた時の達成感も魅力の一つです。
面倒くさがって、途中で諦める人もいますが、一度食べ出すと、やめられなくなる食用の種。むきやすさと味の良さという2点で、おすすめなのは、ひまわりの種です。
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