感動
罵倒されてもフリーハグ続ける中国人 北京での挫折、銀座の老人の涙
中国人の張瀟(ちょう・しょう)さんは、日本全国でフリーハグを続けています。学生時代はクラウドファンディングで資金を募り海外も巡りました。「ふざけるな、やめろ!」。路上で罵倒されても、無視されても、フリーハグをやめない張さん。その理由を聞きました。
11歳で来日した張さんは、すぐ日本になじみ「大好きになった」そうです。しかし、次第にメディアで報道される日中関係とのギャップに驚きと違和感を覚えるように。
「中国ついてネガティブな情報ばかりで…」。そんな時、Youtubeの動画を見ます。大学3年生の夏でした。
「日本人の桑原功一さんが、韓国でフリーハグをしていました。知らない人とハグするだけでお互いの国民の距離が近づく。日本で暮らす中国人の自分がやらないと誰がやるんだって、そう思いました」
「中国の歴史や文化が好き」
「日本のアニメが好き」
お互いの国に関心を持ち、もっと知りたい、仲良くなりたいという人がいることを知った張さん。知りたい人のための架け橋になりたいとの思いから、2014年7月、大学の仲間数人と一緒に「日中フリーハグ」を立ち上げました。
第一弾は渋谷。仲間たちと一緒に横、約3時間で31人とハグをしました。2回目も順調に終えることができました。
張さんたちは、活動の幅を広げるため、クラウドファンディングで資金を募ります。ネットで資金を募集したところ、目標金額の30万円を超える31万円が集まりました。
寄付金によって、山梨・札幌・大阪・京都・和歌山・福岡にもフリーハグの活動を広げることができました。ハグだけでなく、SNSで日本の観光地や風習を紹介するなど、草の根レベルの友好活動に力を入れました。
活動は海外にも及びます。2015年10月には北京でのフリーハグも実現させました。
トラブルもありました。それは日本ではなく、北京で起きました。
「そんなこと、ここでするんじゃない」
「ふざけるな、やめろ!」
「日本かー、やっぱいいや」
街中で浴びせられた冷たい罵声。「心の準備をしていましたが、大きなショックを受けました」
一方で、張さんには、北京での罵声以上に忘れられない出来事がある言います。
銀座でフリーハグをした時のこと。80歳の中国人の老人が、張さんの活動に感動して泣き出したのです。
老人の娘さんは、もうすぐ日本人の男性と結婚する予定でした。「彼の心には、日本人と結婚する娘に対して大きな葛藤があり、悶々としていたようです」と張さんは振り返ります。
そんな時、出会ったのがフリーハグでした。「日中関係の温かい一面を目の当たりにし、涙が我慢できなくなったと言ってくれました。彼からは、両国の偏見や誤解を解消させ、相互理解を促進してほしいという願いを託されました」
現在、24歳になった張さんは、就職した後もフリーハグを続けています。
「中華料理は世界の人々の胃袋をつかんだ。でも、中国は世界の人々の心を捕まえていない。いつか人々の心をもっと近づけたいです」
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