感動
母にあげた「何でも券」、10数年後に息子の元へ 意外な使い道に感動
高校のバスケットボール大会を前に、母から渡されたポチ袋。そこには10数年前に自分があげた「何でも券」が入っていました。
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高校のバスケットボール大会を前に、母から渡されたポチ袋。そこには10数年前に自分があげた「何でも券」が入っていました。
高校のバスケットボール大会を前に、母から渡されたポチ袋。開会式の前にこっそり開けると、中には、むかし自分が母の誕生日にあげた「何でも券」が入っていて、「最後までしっかり動けますように」と書かれていました。10年以上も大事にとっておいた母が、お手伝いや肩もみといった自分のためではなく、それを渡してくれた息子のために使ったのです。どんな思いで、このメッセージを書いたのか? 母と息子に話を聞きました。
北海道清水町で働いている井上翔太さん(18)。昨年まで帯広大谷高校で、バスケに打ち込む日々を過ごしていました。
そんな彼が今月、ツイッターにこんな投稿をしました。
「幼稚園ぐらいでしょうか。母親の誕生日に『なんでもけん』をあげました。洗濯物干してとか茶碗洗っといてとか、パシリ系に使うのかとずっと思っていた『なんでもけん』。でも、バスケ高体連の全道出発前に渡されました。お陰様で、歴史を変えました」
このつぶやきに対し、「いい話すぎる」「泣きそうになった」と多くの反響が寄せられ、「いいね」は4万を超えました。
幼稚園ぐらいでしょうか。母親の誕生日に「なんでもけん」をあげました。洗濯物干してとか茶碗洗っといてとか、パシリ系に使うのかとずっと思っていた「なんでもけん」。でも、バスケ高体連の全道出発前に渡されました。お陰様で、歴史を変えました。 pic.twitter.com/ycIwU3BSUS
— 井上 翔太 (@sho_gacha) 2016年6月2日
この話は、今からちょうど1年ほど前にあった出来事です。
全道大会の開催地へ向かう朝、学校まで見送りに来た母からポチ袋を手渡されました。翔太さんは中身を尋ねることなく受け取り、バスに乗り込みました。
会場に到着し、開会式前にこっそり中を開くと、10数年前に自分があげた「なんでもけん」が入っていました。
そこに書かれていた文字は「最後までしっかり動けますように」。息子がしっかりとプレーできるようにとの願いが込められていました。
「最初はお金でも入っているのかなと思いました。『なんでもけん』を自分が書いたのは覚えていたけど、こんな使い方をするとは、びっくりしました」
このおかげもあってか、帯広大谷はベスト8入り。フォワードとして出場した翔太さんは、いつもなら足がつって、そのまま退場することが多かったのですが、この大会では足がつってもプレーを続けることができたそうです。
母はどんな気持ちで、「なんでもけん」を使ったのか?
「いつか使おうと思っていたんですが、機会がなくて神棚に置いてあったんです」
翔太さんがケガ続きで最後まで走りきれず、コート内で悔しそうな表情をしていたのを何度か見かけていました。最後の大会で思う存分走ってほしいという思いを込めて、「神様に届けばいいな」という思いで書いたそうです。
本人に渡すかどうか迷ったそうですが、「たぶん見ないだろう」と思って渡すことにしました。
渡された「なんでもけん」を翔太さんが大事に持っていたことも、ツイッターでそれを公開したことも、今回の取材で初めて知ったそうです。
「ちゃんと届いていたんだ、大事にしてくれてたんだ、って知ることができて嬉しいです。だって、『見たよ』とか『ありがとう』とか一言もなかったんですよ」と涙声で話します。
一方の翔太さんは、取材で母への思いを聞かれ、こう答えていました。
「ここまでバスケやってこれたのはお母さんのおかげ。『ありがとう』って思ってます。でも、『なんでもけん』は他にも数枚あると思うので、次はどんな使われ方をするのか、ちょっと心配です」
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