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「グラブル」ガチャ自粛、他社にも広がる? ゲーム20社の回答は…
「ガチャ」と呼ばれる課金くじをめぐり、スマートフォンゲーム業界が揺れています。人気ゲーム「グランブルーファンタジー」が、レアアイテムをガチャで当てるのにかかる課金額に、上限を設ける自主規制を打ち出したからです。この流れは、ほかのゲームにも広がるのでしょうか。
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「ガチャ」と呼ばれる課金くじをめぐり、スマートフォンゲーム業界が揺れています。人気ゲーム「グランブルーファンタジー」が、レアアイテムをガチャで当てるのにかかる課金額に、上限を設ける自主規制を打ち出したからです。この流れは、ほかのゲームにも広がるのでしょうか。
「ガチャ」と呼ばれる課金くじをめぐり、スマートフォンゲーム業界が揺れています。人気ゲーム「グランブルーファンタジー」が、ガチャでレアアイテムが当たるまでの課金額に、上限を設ける自主規制を打ち出したからです。ガチャによる課金で、高収益をあげてきたスマホゲーム業界。この流れは、ほかのゲームにも広がるのでしょうか。業界団体と主要20社に聞きました。
「お客様にご不快な思いをさせてしまいましたこと、申し訳ありません」
「グランブルーファンタジー」を運営するCygamesが、ニコニコ動画などで陳謝したのは2月下旬のことでした。
年末年始にレアアイテムの出現確率が期間限定で高くなると告知しましたが、数十万円をつぎこんだ利用者などから「狙っていたアイテムが出ない」と苦情が殺到。同社は、3月から課金額が増えすぎないよう、ガチャを約9万円分引いても当たらない場合、レアアイテムを必ず獲得できるようにする方針を表明しました。
同ゲームのプロデューサーがお詫びをした動画には「9万円なら安い」「神対応!」と評価するコメントがある一方、「コレで安いとか・・・格差社会」「やっぱりこの業界、麻痺してんな」と、なお反発するコメントも寄せられました。
この炎上騒動で専門家などから相次いだのが、業界に自主規制を求める声です。
ゲームメーカーなど159社が加盟する業界団体「コンピュータエンターテインメント協会」(CESA)には、ガチャ課金のガイドラインがありません。
担当者は「現在、課金額に上限を設けることなどを含め、ガイドラインを検討している」と明かします。しかし「会員数も多く、立場がそれぞれ違う。合意形成に注力しているところ」といい、最終的な内容や公表時期は決められていないといいます。
スマホゲームメーカーは、どう考えているのでしょうか。主要な20社を取材しました。
「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」などを運営するスクウェア・エニックスは「CESAのガイドラインの見直しがあれば、早急に対応できる体制を整えております」と説明します。
セガサミー、カプコン、グリーなど、ほかに8社の大手・中堅ゲームメーカーが「ガイドラインが完成次第、対応する」と説明しました。
「白猫プロジェクト」などを運営するコロプラは「消費者保護の観点から、課金額に上限を設けるべきとの議論があることは承知しております。こういった議論も参考とさせていただき、関係法令等をふまえながら検討していきたいと考えております」といいます。
ほかに人気メーカーであるミクシィ、ガンホー、クルーズの3社からも、ほぼ同じ内容の回答がありました。
一方で、課金額を制限することに疑問を示すメーカーもあります。あるメーカーは、「未成年者保護などの適切な運用があれば、課金額は問題ではない」といいます。
メーカーによっても意見が異なるなか、実効性のあるガイドラインは作れるのでしょうか。実は、別の業界団体には、すでにガチャを規制するガイドラインがあります。
パソコン向けゲームメーカーの業界団体から始まった「日本オンラインゲーム協会」(JOGA)では、スマホゲームを手がける加盟企業が増えたため、2012年にガチャを自主規制するガイドラインを作りました。
同協会には、スマホゲームの2強といえる「パズル&ドラゴンズ」を運営するガンホーと、「モンスターストライク」を運営するミクシィが加盟しています。
両社にたずねると、ガイドラインに沿って「レアアイテム獲得までの推定金額を、ガチャ1回の課金額の100倍以内に設定している」といいます。ミクシィの「モンスターストライク」では、ガチャは1回最低480円。つまり、確率的に4万8000円を使えば何かしらのレアアイテムが取得できるということになります。
ガンホーも「課金額が増えすぎないよう、ゲーム内容に工夫を続けてきた。ガイドラインを守ることは、利用者から長く愛されることにつながる」といいます。
ただ、レアアイテムにも多数の種類があり、特定のアイテムを狙って獲得しようとすると確率はさらに下がります。多くのゲームで、アイテムごとの出現確率は公表されていません。
たとえば「グランブルーファンタジー」は、炎上後の対策の一環として、3月からアイテムごとの出現確率を公表し始めました。
実際にゲーム画面を見たところ、入手困難なものだと「0.014%」のものまで確認できました。つまりガチャ約7000回に1回の確率で、入手したければ100万円以上かかっても不思議ではない計算になります。
こうした状況を踏まえ、どのゲームも、アイテムごとの出現確率を公開すべきだと言うメーカーもあります。
ある中堅メーカーは、「出現確率が分からない中、数十万、数百万円と多額の課金をすることが問題だと考えております。まずは個別の有料アイテムの出現確率を利用者様に開示することが大事だと考えております」。情報をきちんと知らせ、課金するかは利用者に判断してもらったほうがいい、という主張です。
どのような自主規制をすれば、利用者を守れるのか。逆に、利用者が好んで課金をしている場合、どこまでを規制する必要があるのか。模索が続きそうです。
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