ネットの話題
ジョジョの奇妙な入試? 国士舘大の地理に人気漫画登場、狙いを聞く
荒木飛呂彦さんの漫画『ジョジョの奇妙な冒険』。この人気作品が大学入試の地理の問題に登場し、ネット上で話題になっています。
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荒木飛呂彦さんの漫画『ジョジョの奇妙な冒険』。この人気作品が大学入試の地理の問題に登場し、ネット上で話題になっています。
荒木飛呂彦さんの漫画『ジョジョの奇妙な冒険』。この人気作品が今月実施された大学入試の地理の問題に登場し、ネット上で話題になっています。受験生とみられる人が問題文をツイッターに投稿すると、「何これ、解きたい」「うらやましい」などと盛り上がり、拡散しています。出題した国士舘大学に狙いを聞きました。
「ジョジョの奇妙な冒険」は1987年に週刊少年ジャンプでマンガ連載が始まり、アニメ化やゲーム化もされている人気作品です。ジョースター家の血縁と因縁を描きながら、時代や舞台を様々に移しつつ、現在も連載中です。
そんなジョジョが入試に登場したことについて、ネット上では以下のような声が上がっています。
「国士舘受けとけば良かった」
「完全に趣味じゃねぇか」
「作品への愛がだだ漏れ」
「これ作った教授、ジョジョ好きなんだろうか」
「導入がジョジョなだけで、まともな地理の問題」
ネット上では「不公平だ」といった声も一部上がっていますが、問題はないのでしょうか? 出題の狙いについて、国士舘大学広報課に話を聞きました。
――ジョジョを題材にした出題があったのは本当でしょうか
「はい、本当です」
――試験は、いつ実施された、どの試験でしょうか
「平成28年度の前期入学試験(A日程)、2月1日実施の選択科目『地理B』です」
――出題内容を詳しく教えて下さい。
「ジャンル的には、アジア~北アフリカの地誌となります。出題は『ジョジョの奇妙な冒険第3部スターダストクルセイダース』における主人公たち一行の東京→カイロ(エジプト)の行程に沿って、舞台となった各地に関連した問題を出しました。具体的には以下の通りです」
問1:ホンコンの食文化
問2:南シナ海の領土問題
問3:シンガポールの工業
問4:コルカタの言語
問5:ヴァラナシの宗教
問6:パキスタンの国際紛争
問7:ペルシャ湾の石油
問8:アラビア半島の砂漠と内海の名称
問9:エジプトの国土開発
問10:総合的な地誌認識(この行程で通過した国の数)
――入り口をジョジョにしながらオーソドックスな地理の出題になっているようですが
「そのとおりです。あくまで『ジョジョの奇妙な冒険』は、出題内容であるアジア~北アフリカの地誌を解くにあたって、受験生が対象地域をスムースにイメージするための導入部分として用いています。もちろん『ジョジョの奇妙な冒険』そのものを問題にしているわけではないので、この作品を読んだことがある受験生と、全く知らない受験生との間に、問題を解答するにあたって有利・不利がないような問題としています」
――受験生たちからの反応はありましたか
「大学に対して受験生からの問い合わせ等はありません。ただし、直後からネット上では反応があったようですね」
――ジョジョをテーマにした狙いについて教えて下さい
「上記のとおり、出題内容へのスムースな導入が第一の目的ですが、地理という科目は、我々の日常生活と結びついており、身の回りの色々なところに地理的なものは転がっているのだということを、多くの人に知ってほしいという意図もあります。また、あまり知られていないかもしれませんが、人文主義地理学といって、小説や映画(もちろん漫画やアニメも)といった作品の中に、さまざまな場所や風景(例えば都市や国が)がどのように表現されているかを読み解くことで、その土地や風景の意味(人間にとっての場所・地域)を明らかにしようとする分野があり、この出題のような観点もまぎれもなく地理学の一部なのです」
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