お金と仕事
進むガム離れ 格闘技×アイドル ロッテが仕掛けた異色フェスの狙い
日本武道館であった「格闘技と音楽の対決フェス」と題した「GUM ROCK FES」。格闘技と音楽の聖地で行われたイベントですが、主催に関わったのはお菓子会社の「ロッテ」。この不思議な組み合わせの背景には、縮小するガム業界の危機感がありました。
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日本武道館であった「格闘技と音楽の対決フェス」と題した「GUM ROCK FES」。格闘技と音楽の聖地で行われたイベントですが、主催に関わったのはお菓子会社の「ロッテ」。この不思議な組み合わせの背景には、縮小するガム業界の危機感がありました。
「格闘技と音楽の対決フェス」と題した「GUM ROCK FES」が1月下旬、日本武道館で開かれました。日本を代表するレスラーの長州力選手と藤波辰爾選手による「プロレス対決」をメインイベントに、指原莉乃さんがいるHKT48と昨年紅白に初出場した乃木坂46の「ライブ対決」など様々な「対決」で会場は大盛り上がり。格闘技と音楽の聖地で行われたイベントですが、主催に関わったのはお菓子会社の「ロッテ」。この不思議な組み合わせの背景には、縮小するガム業界の危機感がありました。
ロッテによると、フェスは昨年から同社が取り組むガムの「ウェル噛む」プロジェクトの一環です。ガムのイメージアップを伝説のプロデューサー「サイモン利根川」氏に託すというストーリーで、昨年6月には「ガムを噛んでいるバンド」の「Thinking Dogs」がデビュー。武道館のフェスでも、ガールズバンド「Silent Siren」との対バンで会場を沸かせました。
このほかにあったのは、お笑いコンビ南海キャンディーズのしずちゃんと兼業プロレスラー・スーパーササダンゴマシンの「プレゼン対決」。「東西アイドル対決」では、HKTと乃木坂のパフォーマンスに、観客も色とりどりのサイリウムやタオルを振りかざして応えていました。そして、武道館に作られたリングに相まみえた長州選手と藤波選手。「名勝負数え歌」と呼ばれた伝説のカードは、序盤から互いに必殺技を繰り出す白熱した展開。「長州」と藤波選手の愛称である「ドラゴン」の声援がリングに送られ、5分を過ぎたところでラリアットを決めた長州選手が勝利しました。
「今回、初めての異業種コラボイベントだったが、武道館が一つになった気がしてよかった」。終了後、開催に手応えを感じていたのは、運営に携わったロッテの広報担当者です。フェスを開催したきっかけについて「今までガムを食べている人や、ガムをかんでいない人に対してもイメージアップが出来れば」と話します。
ロッテや明治、江崎グリコなど大手菓子メーカーが加入する日本チューインガム協会の資料によると、ガムの生産量は2004年の4万6100トンをピークに年々減少。2014年は2万9020トンと3万トンを割り込みました。販売額も04年の1881億円から減り続け、14年は1150億円と10年前より4割減っています。協会は「この落ち込みから脱出しないといけないという危機感がメーカー各社にはある」と話します。
協会によると、ロッテは市場の半数を占めるガム業界1位のメーカーです。市場の動向については言及しませんでしたが、ロッテの広報担当者も「ガムに関心が無い人は商品だけではなかなか振り向いてくれないので、興味をもってもらう切り口の一つとして今回のフェスを開いた」。フェスでは、ボトルガムを持参した観客にフェス限定の景品をプレゼントする企画も実施。「ガムをかむ機会を作ることで、継続的に買ってみようということにつながれば」と話します。
ロッテが毎年実施している調査によると、ガムをかむ人は「味わい」「味の持続」「リフレッシュメント」などを買う理由にしているのに対し、ガムをかまない人は「何となくかまなくなった」など明確な原因が分かっていないということです。担当者は「こうしたエンターテインメントのイベントで、ガムの良さに少しでも気づいてもらえれば」と話しました。
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