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車いすマークの駐車場、妊婦はダメ? 誰が使えるのか国に聞きました

役所やショッピングモールなどにある、車いすマークの付いた駐車場。どんな障害がある人が使うためにあるのでしょうか?

車いすのマークがある優先駐車場
車いすのマークがある優先駐車場 出典: 佐賀県提供

目次

 役所やショッピングモールなどにある、車いすマークの付いた駐車場。どんな障害がある人が使うためにあるのでしょうか? マークを見る限り、車いす利用者だけのようにも見えますが、松葉づえをついている人や高齢者、妊婦も使えるのでしょうか? 実は、法律などで一律に決まっているわけではなく、駐車場の管理者がそれぞれ決めているのが実情です。誰が使っていいのかわかりにくため、トラブルになるケースも出ています。そんな現状を変えようと、新たな取り組みも始まっています。

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車いすのマークがある優先駐車場
車いすのマークがある優先駐車場 出典: 佐賀県提供

国交省に聞きました


 ネット上では、「妊婦が優先駐車場に止めようとしたら、それを見ていた人に注意された」といった話が話題になることがあります。これに対し、「使っていいのは障害がある人だけ」「妊婦もいいんじゃないか」と意見が分かれるようです。

 実際のところはどうなのか? 国土交通省総合政策局の安心生活政策課に聞いてみると「バリアフリー新法に基づいて、設置数や駐車スペースの幅などの設置基準は定められていますが、誰が使っていいのかという点については、法律上は定めがありません。それぞれの駐車場の管理者が決めています」との回答でした。

なぜ国際シンボルマーク?


 ほとんどの駐車場が共通して車いすマークを使っているのには理由があるのか? この点については「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」というガイドラインに基づいて表示を推奨しているとのことでした。

 このガイドラインを読むと、留意点として「一般スペースと区別がつきやすくし、また不適正利用の抑止を図るために、表面への国際シンボルマークの塗装は、青色の地に白色のマークとする等、目立つものとすることが望ましい」とあります。

 よく見かけるあの車いすマークの正式名称は「国際シンボルマーク」といいます。1969年に国際リハビリテーション協会が定めたもので、障害をもつ人々が利用できる建築物や施設であることを示す世界共通のマークです。

 このマークが示す「障害をもつ人々」には誰が含まれるのか? 国内でマークを管理している日本障害者リハビリテーション協会に聞くと「障害のある方全般を指します。妊婦については該当しないと考えています」との回答でした。

車いすマークの正式名称は「国際シンボルマーク」
車いすマークの正式名称は「国際シンボルマーク」 出典: 内閣府のホームページより

変えようという取り組みも


 誰が使っていいのかはっきりしない現状で、佐賀県が中心となって「パーキングパーミット」という制度の普及活動に取り組んでいます。

 パーキングパーミットは、優先駐車場を必要とする人に事前に「利用証」を交付。駐車する時に見えやすいところに表示することで、駐車場を利用できる人だと明示する制度です。対象者については以下のように決められており、高齢者や妊婦も含めて幅広く捉えています。

 (1)身体に障害がある方で歩行が困難な方(駐車禁止除外者標章の対象者を準用)
 (2)高齢者で歩行困難な方(要介護1以上)
 (3)難病等で歩行困難な方(特定疾患医療受給者証交付対象者)
 (4)知的障害がある方で歩行が困難な方(療育手帳の等級がAの方)
 (5)一時的に歩行困難な方(けが人、妊産婦)

  ※(1)~(4)は利用証の有効期間5年、(5)は1年未満

「パーキングパーミット」制度の利用証。左が有効期間5年、右は1年未満
「パーキングパーミット」制度の利用証。左が有効期間5年、右は1年未満 出典: 佐賀県提供

国交省「導入には課題が」


 佐賀県が中心となって今年5月、「全国パーキングパーミット制度推進協議会」を立ち上げ、10月には初会合を開催。11月11日現在で全国の32府県・2市で同様の制度が導入されており、協議会では国による制度化を求めることを検討しています。

 国単位での制度導入はあるのか? 国土交通省総合政策局の安心生活政策課は「佐賀県などの取り組みは把握しているが、現時点での導入には課題がある」としています。

 その理由としては、利用証を交付する範囲が広いために、これまで利用していた障害者が利用できなくなる可能性や、都道府県によって障害者の数と駐車場の数に違いがあることなどを挙げています。

 推進協議会の事務局を務める佐賀県の地域福祉課は「現在、パーキングパーミット制度の国による法制化に向けて議論を始めたところです。協議会のメンバーの合意を得て、国に法制化の要望を行っていきたいと思います」としています。

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