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阪急百貨店で補助犬のイベント、直後の「入店拒否」 な、なんで?

大阪・梅田の百貨店で開かれた「補助犬啓発イベント」。終了後、予想外の事態が起きました。まさかの「入店拒否」です。

落とした携帯電話を拾い、使用者に渡す介助犬
落とした携帯電話を拾い、使用者に渡す介助犬 出典: 朝日新聞

目次

 大阪・梅田の百貨店で開かれた「補助犬法啓発イベント」。盲導犬や介助犬、聴導犬そして「身体障害者補助犬法」が社会でどんな役割を果たしているのか、補助犬を実際に必要としている当事者らが壇上に立ちました。ところがイベント終了後、予想外の事態が起きました。イベントに参加した聴覚障害者らが、同じフロア内の二つの飲食店で「入店拒否」されたのです。事態を重く見た障害者の団体は、フェイスブック上で一部始終を公開、問題提起をしました。阪急百貨店で何があったのでしょうか?

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「入店拒否」そのとき現場は

 補助犬の入店をめぐってトラブルがあったのは大阪・梅田の百貨店「阪急うめだ本店」。同店9階の催事場では毎週土曜日にNPO活動を紹介する催しがあり、10月3日はNPO法人「日本補助犬情報センター」(横浜市)監修の「補助犬法啓発イベント」(厚生労働省主催)が開かれました。参加した同センターの専務理事兼事務局長・橋爪智子さんによると、イベントは通りがかった買い物客ら約200人が集まったそうです。予想外の盛況ぶりに百貨店の担当者と一緒に喜んだそうです。

 ただ、そんな気持ちが消し飛んでしまうようなことが直後に起きました。

 橋爪さんやイベントステージに立った聴導犬を連れた女性らが、一息つこうと同じフロアにあるカフェに立ち寄った時です。席について注文をしようとすると、店員がこう言いました。「ペットはお断りです」。「いえ、これは補助犬といって…」とさっきのイベントでも配っていたパンフレットを渡そうとすると、その受け取りも断られました。
 同じことは別の店でも。「犬は困ります。ここは盲導犬も断ってるので」と言われました。橋爪さんたちは3店目のカフェでようやく入店できました。

阪急百貨店で開かれた「補助犬法啓発イベント」。このあと「入店拒否」が起きた=日本補助犬情報センター提供
阪急百貨店で開かれた「補助犬法啓発イベント」。このあと「入店拒否」が起きた=日本補助犬情報センター提供

業界の先駆者だった阪急百貨店

 橋爪さんが驚くことがまだあります。それは阪急百貨店が業界内で先駆けて補助犬の受け入れを決めた百貨店だったことです。「なぜ阪急でという気持ちがとても強いです」

 阪急百貨店側は今回の事態をどのようにとらえているのでしょうか。

 「ただただ、ひとえに私どもの教育・指導不足でした。補助犬について先進的に取り組んできたという自負があっただけに我々としても非常にショックなんです」

 こう落胆するのは阪急百貨店を展開する「エイチ・ツー・オー リテイリング」の広報担当者です。担当者などによると阪急百貨店は1999年に補助犬の入店を認めました。「百貨店の中でも一番早い対応でした。それだけに本当に今回のことは…補助犬についての理解が末端のアルバイトやスタッフまでは徹底されていなかったのは明らかです。申し訳ない気持ちです」

「これからの課題」が見えた

 入店を拒否された当事者の女性は、今回の経緯をフェイスブックなどに記しました。「元気出してください」「補助犬。。なんで浸透しないんだろう」などのコメントが寄せられました。

 橋爪さん自身は今回の「入店拒否」を前向きに捉えようとしています。「たしかにイベントでは障害者問題に関心のある方は集まって頂ける。でも私たちが本当に補助犬のことを伝えていかないといけない相手は、障害者や補助犬のことにまったく関心が向かない人だとはっきりわかったんです」。そしてこう話します。「補助犬という犬の問題に注目しがちですが、その先にいる、その犬を必要とする障害者のことにも思いを向けてほしい」

 百貨店側の担当者は「今後厳しく指導と教育を進めていきたい」と話しています。橋爪さんらとともにどのような啓発活動ができるのか、考えていく方針です。入店を断られた時、百貨店の担当者も当事者の女性とともに涙ながらに説得にあたったそうです。「もうあの涙は流させない」。橋爪さんは強く思っています。

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