お金と仕事
ホームドア、東急がとった秘策とは 発想の転換で設置を前倒し
東急電鉄が田園都市線にホームドアを設置します。その設置方法は「発想の転換」から生まれました
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東急電鉄が田園都市線にホームドアを設置します。その設置方法は「発想の転換」から生まれました
東急電鉄が田園都市線にホームドアを設置すると発表しました。ホームドア設置自体、それほど珍しいことではありませんが、今回は設置方法が従来と異なります。これまで、車両によってドアの枚数が異なることなどを理由に設置が進んできませんでした。そこで、従来の「ホームドアの位置を車両に合わせる」という発想をやめることで、予定を前倒しできたといいます。その秘策とは? 東急に詳しく聞きました。
ホームドアとは、駅のホームに設置された「ホームと線路を仕切る扉」のこと。列車に乗り降りする時以外は閉めておくことで、ホームからの転落や列車との接触などを防ぐ役割を果たします。
今回、田園都市線初となるホームドアが設置されるのは宮前平駅(川崎市宮前区)。田園都市線を走る車両は現在、4ドアと6ドアの車両が混在しています。2017年度中には4ドア車両への置き換えが完了する予定ですが、ホームの安全対策は1日でも前倒ししたいと考えていました。
そこで生まれたアイデアが「ホームドアを通常よりもホーム内側に寄せる」というものでした。設置するのは4ドア車両用ですが、車両とホームドアの間を広くすることで、乗客が通行できるスペースが確保でき、6ドア車両でも乗り降りを可能にしたのです。
こうした発想はどこから生まれたのか? 東急広報部に話を聞きました。
――思いついたきっかけは
「事業本部内で駅や電気、運転の担当者たちが集まって議論する中で生まれたアイデアです。一昨年から昨年にかけ、ワイヤーロープを使ったホームドアの実験をしたのですが、その際に車掌からの視認性を考えて、少しホームドアの位置をホーム内側に寄せたんです。今回とは狙いが違いますが、このことがヒントになりました」
――車両とホームドアの間はどれくらい空いているんですか
「1.5mほどなので複数の人が通ることができます。車イスの方でも乗り降りできます」
――他の駅にも広げる考えは
「まずは宮前平駅で実際に使ってみてからですね。車両とホームドアの間隔が広くなる分だけ、ホームが狭くなってしまうため、ある程度広いホームでなければ導入できないという事情もあります。ただ、ホームの安全対策は最優先で一日でも早く進めたいと思っています」
◇ ◇ ◇
宮前平駅の下りホームは10月中に、上りホームは12月中に運用開始予定だそうです。まさに発想の転換で実現したホームドアの設置。東急の他の駅や他社にも広がっていくのか注目です。
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