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山口組分裂 30年前にあった「山一抗争」とは? 25人死亡の惨事

分裂することがわかった国内最大の指定暴力団山口組。30年前に起きた「山一抗争」では暴力団関係者25人が死亡し、約70人が負傷しました。

山口組総本部の捜索に入る捜査員ら=2015年6月3日、神戸市灘区
山口組総本部の捜索に入る捜査員ら=2015年6月3日、神戸市灘区 出典: 朝日新聞

目次

 分裂することがわかった国内最大の指定暴力団山口組。警察が警戒するのが、分裂した組同士による衝突です。30年前、山口組と一和会が衝突した「山一抗争」では暴力団関係者25人が死亡し、約70人が負傷しました。

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準構成員含めると「2万3400人」

 警察庁によると、2014年末時点の山口組の組員は44都道府県に計1万300人。準構成員らを含めると2万3400人います。警察当局への取材では、篠田建市(通称・司忍)組長(73)の出身母体である弘道会(名古屋市)に近い組織は残り、前の5代目組長(故人)の出身母体の山健組(神戸市)に近い組織が離脱します。

 捜査関係者によると、離脱するのは山健組、宅見組(大阪市)など関西の組織が中心で、10団体を超える見通し。山健組は山口組内の最大組織で、2千人の組員がいます。離脱する組は「山口組」の名前をつけた新組織を結成する方針です。

山口組の篠田建市組長=2011年4月9日
山口組の篠田建市組長=2011年4月9日 出典: 朝日新聞
警察庁によると、山口組の2014年末時点の組員は44都道府県に計1万300人。準構成員らを含めると2万3400人で、全国の暴力団関係者の43・7%を占めている。
山口組、13団体を処分 離脱組も「山口組」名乗る方針:朝日新聞デジタル
篠田建市(通称・司忍)組長(73)の出身母体である弘道会(名古屋市)に近い組織は残り、前の5代目組長(故人)の出身母体の山健組(神戸市)に近い組織が離脱する。警察当局は双方が衝突する恐れがないか、動向を注視している。
山口組、13団体を処分 離脱組も「山口組」名乗る方針:朝日新聞デジタル

30年前に起きた最悪の抗争

 「山一抗争」は、1985年1月、山口組の竹中正久・4代目組長が、対立する一和会系組員に射殺されたことで起きました。竹中組長は事件当日、京都市内の病院に入院中の故田岡一雄・三代目組長のフミ子夫人を見舞っての帰りで、犯人グループは、こうした竹中組長の動きを監視、犯行の機会を狙っていたとされています。

 対立は、山口組の跡目相続をめぐって起きました。三代目の田岡組長は1981年に死亡、組は幹部会で、竹中組長を四代目と決めましたが、それを不満とする一派が、決定を拒否して分離し、一和会を名乗りました。抗争は計317回に及び、死者25人、負傷者70人を出す事態になりました。2年にわたる抗争で山口組は一和会を解散させました。

広域暴力団山口組の組員らに迎えられ、吹田署から先代田岡組長邸に戻ってきた4代目竹中正久組長の棺=1985年1月28日
広域暴力団山口組の組員らに迎えられ、吹田署から先代田岡組長邸に戻ってきた4代目竹中正久組長の棺=1985年1月28日 出典: 朝日新聞
「山一抗争」は山口組4代目組長殺害がきっかけで、計317回に及び、死者25人、負傷者70人。
1990年4月22日:山口組 あきらめた神戸進出(二都物語 横浜と神戸:11):朝日新聞紙面から
広域暴力団山口組の竹中正久・四代目組長(51)は、対立する一和会系の組員に短銃で撃たれ、危篤状態が続いていたが、二十七日午後十一時二十五分、収容先の大阪市天王寺区、大阪警察病院で死亡した。山口組は昨年六月に同組から分裂した一和会(山本広会長)との間で抗争を続けていた。
1985年1月28日:撃たれた山口組・竹中組長死ぬ 抗争激化は必至 警察庁が対策室設置:朝日新聞紙面から
調べによると、竹中組長は事件当日、京都市内の病院に昨年暮れから入院中の故田岡一雄・三代目組長のフミ子未亡人を見舞っての帰りで、犯人グループは、こうした竹中組長の動きを監視、犯行の機会を狙っていた、とみている。
1985年1月28日:撃たれた山口組・竹中組長死ぬ 抗争激化は必至 警察庁が対策室設置:朝日新聞紙面から
この分派対立は、山口組の跡目相続をめぐって起きた。三代目の田岡組長は五十六年に死亡、組は幹部会で、この竹中組長を四代目と決めたが、それを不満とする一派が、決定を拒否して分離し、一和会を名乗った。
1985年1月29:内部抗争を機に暴力団壊滅へ(社説):朝日新聞紙面から
一方の山口組は、昭和60年から2年間にわたった「山一抗争」(死者25人)で一和会を解散させ、今また、去年6月に山口組を脱退した武闘派の竹中組を壊滅状態に追い込んだ。今年に入っては大阪の古くからの独立した暴力団を次々に傘下に取り込んでいる。
1990年7月2日:残る「しこり」 狙う「大阪支配」(再燃する暴力団抗争):朝日新聞紙面から

警察は衝突の危険を注視

 「山一抗争」によって、暴力団員の武装化が一気に進んだと言われています。また、抗争に勝利した山口組は、広域暴力団として組織拡大に拍車がかかります。2014年末時点で、山口組の組員は全国の暴力団関係者の43.7%を占めるまでになっています。

 8月27日に神戸市灘区の山口組総本部で開かれた緊急の執行部会では、山健組や宅見組など複数の組が欠席しました。山口組側は欠席したり、離脱の意向を示したりしている計13団体をこの日、絶縁や破門の処分としました。

 組ごとの雑貨の購入義務や、総本部と名古屋市の組長宅に詰める制度の負担など、古株の直系組長らの間では現体制の組織運営に不満が募っていたと見られています。最近、総本部を名古屋市に移す動きがあり、この方針への反発が分裂につながったと警察当局はみています。

 警察当局は双方が衝突する恐れがないか、動向を注視しています。

「山口組前で追放デモ」スローガンを書いたプラカードを掲げ、シュプレヒコールを上げながらデモ行進する参加者たち=1997年9月9日
「山口組前で追放デモ」スローガンを書いたプラカードを掲げ、シュプレヒコールを上げながらデモ行進する参加者たち=1997年9月9日 出典: 朝日新聞
一和会問題がネックとなって難航していた山口組の5代目組長選出もこれで一挙に加速される気配で、これを機に、国内の暴力団組織(8万6000人)の4人に1人という広域暴力団山口組の独占化傾向に拍車がかかるのは必至。
1989年3月20日:山口組「5代目」選び、一気に加速?(ニュース三面鏡):朝日新聞紙面から
篠田建市(通称・司忍)組長(73)の出身母体である弘道会(名古屋市)に近い組織は残り、前の5代目組長(故人)の出身母体の山健組(神戸市)に近い組織が離脱する。警察当局は双方が衝突する恐れがないか、動向を注視している。

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