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少林寺の住職に「愛人」「隠し子」「財産横領」疑惑 ネットで告発

少林寺の住職・釈永信氏が世論の渦中にいます。「愛人」「隠し子」「財産横領」など、次々と疑惑が浮上しています。

全国人民代表大会に出席する釈永信氏の動向を伝える少林寺の公式サイト
全国人民代表大会に出席する釈永信氏の動向を伝える少林寺の公式サイト 出典: 全国人大代表释永信法师:建议腊八节全民公休一天 - Shaolin

 少林寺の住職・釈永信氏が世論の渦中にいます。「愛人」「隠し子」「財産横領」など、次々と疑惑が浮上。予定していたバンコクでの武術交流イベントへの参加も、地元当局の調査を受けるために、取りやめになりました。

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鳩山由紀夫元首相と対面する釈永信氏=2014年8月23日、ロイター
鳩山由紀夫元首相と対面する釈永信氏=2014年8月23日、ロイター

世界遺産に登録、少林カンフーで有名

 少林寺は紀元495年に建立され、1500年以上の歴史がある、中国でも屈指の歴史を持つお寺です。「少林寺」という名前の由来は、河南省登封市嵩山の少室山の密林のなかに位置しているためだと言われています。

 少林寺は「禅宗発祥の地」として有名で、また少林拳法などのカンフーの舞台としても知られています。特に1982年にジェット・リー(李連傑)が主演した映画『少林寺』が大ヒットし、少林カンフー旋風を巻き起こしました。2010年に、少林寺は世界遺産に登録されました。

気合を入れて少林寺の基本動作を覚える4、5歳の子どもたちも、=2005年9月、中国・河南省登封市で、佐藤慈子撮影
気合を入れて少林寺の基本動作を覚える4、5歳の子どもたちも、=2005年9月、中国・河南省登封市で、佐藤慈子撮影 出典: 朝日新聞

ビジネス路線、「少林CEO」との批判も

 少林寺の現任住職は、第30代住職の釈永信氏です。少林寺のオフィシャルサイトによると、釈永信氏は1965年安徽省生まれで、俗名(出家前の名前)は劉応成です。1981年に少林寺で出家し、1999年に住職に就きました。現在は河南省仏教教会会長で、中国仏教教会副会長も務めています。
 釈永信氏が進めた商業化路線は、以前から注目されていました。1987年に「少林武術隊」を成立させ、1989年に「少林武僧団」に改名し、各地でパフォーマンスをする、商業化を進めました。

 1998年に河南少林無形資産管理有限会社(略称:少林無形)も設立。現在200以上の「少林寺」関連の商標を所有していると言われます。関連会社が開設しているオンラインショップ「少林歓喜地」では門外不出と言われているカンフー経典も9999元(約20万円)で売られています。

 ビジネス路線に対しては「やりすぎだ」という批判もあり、一部で釈永信氏は「少林CEO」と言われています。

関連リンク:少林寺のオフィシャルサイト
関連リンク:「少林寺のオンラインショップでカンフー書籍が高値で販売」(新華網)
関連リンク:「少林寺の関連事業を手がける会社に釈永信氏が8割を出資」(騰訊ニュース)

ネット上に告発文、瞬時に拡散

 7月25日に、中国の人気BBS論壇・凱迪網では、「少林寺方丈釈永信這只大老虎、誰来監督」(少林寺の住職釈永信という大きな虎を、誰が監督する?)という投稿が注目を集めました。瞬く間に160万以上のPVに達し、記事の内容は他のサイトに転載されました。署名は同じ少林寺の僧侶で「釈正義」でした。2015年8月5日現在、元の投稿はすでに削除されましたが、釈永信氏の批判が根強いことが、証明される結果となりました。

 告発内容は主に以下の3点でした。
(1)釈永信氏は道徳的な問題で先代住職に破門されており、そもそも住職の資格はない
(2)複数の女性と関係を持ち、さらに二人の隠し子をもうけている
(3)愛人を通して少林寺の財産を横領している

 大きな反響を受けてから、「釈正義」を名乗る僧侶は複数のメディアに釈永信氏の1988年の破門証明書、愛人と隠し子とされる女性と子どもの写真、愛人は少林寺傘下企業の株主であることの証拠を提示しました。

 「釈正義」はメディア宛てのメールには、現在彼自身は大きな阻碍を受けていることも示唆した。しかし重要な証拠を持っているため、今後も必要に応じ、出す予定だそうです。

少林功夫を練習する子供たち。やぐらの上から教師がマイクで号令をかける=2005年9月13日、中国・河南省登封市で
少林功夫を練習する子供たち。やぐらの上から教師がマイクで号令をかける=2005年9月13日、中国・河南省登封市で 出典: 朝日新聞
関連リンク:「釈永信氏の乱れた私生活 少林寺、告発文に反論」(澎湃ニュース)
関連リンク:「釈永信氏をめぐる愛人疑惑 釈正義氏が告発」(捜狐ニュース)
関連リンク:「釈永信氏、愛人に財産移転疑惑」(捜狐ニュース)

少林寺側は即座に反論

 ネットでの告発に、少林寺はいち早く反応します。告発がアップされた翌日、登峰市公安局(警察)に誹謗罪で告訴しました。釈永信氏は「清らかな者は清らかだ。自分は時間の試練に耐えられる」と談話を発表しました。

 また釈永信氏の弟子29人は、告発者の「釈正義」は除名された弟子の釈延魯だと証言し、誹謗の動機は報復だと反論しました。一方、釈延魯本人は「釈正義」であることを否定した上で、少林寺の「商業化」への反感と、釈正義氏への賛意を発表しました。
 

関連リンク:「釈永信氏の29人の弟子、釈正義氏の素性を暴露」(新浪ニュース)
関連リンク:登峰市政府サイトで公開された宗教局の調査に関する説明

地元宗教局は「調査中」

 ネット上では釈正義の告発文が広がり、多くのコメントが集まっています。

「一人のお坊さんが少林寺の信用を失墜させるでしょうか」
「少林寺は完全に企業だ。釈永信はまったく高僧の人相がない。」
「釈永信も釈正義も、一筋縄ではいきません」
「当局が、すみやかに対応をし、結果を発表するべきです」

 告発内容の真相、少林寺という伝統あるお寺の今後の行方に関心が集まっています。

 鄭州市公安局の「経済犯罪専門の調査チーム」(経偵大隊)は「現在、調査はしておらず、関連の命令も受けていない」としています。一方、8月4日の深夜23時半、登峰市宗教局は登峰市政府のオフィシャルサイトを通して途中の調査報告をアップしています。報告では「調査の結果、釈正義という人が存在しないことが分かった。ほかの事項について、まだ調査中」としています。

関連リンク:釈永信氏の疑惑に関する微博上の反応

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