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「8月15日=終戦」なぜ定着?法的に別の候補日も 玉音放送の存在

慰霊の催しが各地で行われる8月15日の終戦の日。法律的には別の日を終戦の日と考えることもできます。なぜ8月15日が定着したのでしょうか。

終戦の「玉音放送」を聞き、涙を流す海軍軍需工場に動員された女学生=1945年8月15日
終戦の「玉音放送」を聞き、涙を流す海軍軍需工場に動員された女学生=1945年8月15日

目次

 全国戦没者追悼式をはじめ、慰霊の催しが各地で行われる8月15日の終戦の日。実は、法律的には別の日を終戦の日と考えることもできます。なぜ8月15日が定着したのでしょうか。

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受諾を決断・詔書の署名・休戦命令…候補日いろいろ

 終戦を8月15日とする法的根拠は、1963年5月14日の閣議決定です。それ以前は、「8月15日=終戦」というのは必ずしも定着していなかったようです。

 「終戦」は、休戦が成立した時とみなすこともできるため、いくつかの「候補日」を考えることができます。

【8月10日】天皇が連合国によるポツダム宣言の受諾を決断した日
【8月14日】天皇が終戦の詔書に署名した日
【8月15日】天皇が朗読した終戦の詔書がラジオで放送された日
【8月16日】大本営が全軍に休戦命令を出した日
【9月2日】戦艦ミズーリ号上で日本政府代表の外相・重光葵(まもる)らが降伏文書に署名し、天皇による降伏詔書が発表された日

東京湾内のアメリカ戦艦「ミズーリ」の艦上で1945年9月2日、連合国軍最高司令官が提示した降伏文書に調印する日本の全権、陸軍参謀総長の梅津美治郎大将。テーブルの手前、後ろ向き右がマッカーサー元帥。その後方に並んでいるのは各国代表。向こう側は日本代表団。先頭はもう一人の全権、重光葵外相
東京湾内のアメリカ戦艦「ミズーリ」の艦上で1945年9月2日、連合国軍最高司令官が提示した降伏文書に調印する日本の全権、陸軍参謀総長の梅津美治郎大将。テーブルの手前、後ろ向き右がマッカーサー元帥。その後方に並んでいるのは各国代表。向こう側は日本代表団。先頭はもう一人の全権、重光葵外相 出典: 朝日新聞
終戦を8月15日とする法的根拠は、1963年5月14日の閣議決定だ。逆に言えば、それ以前は「8月15日=終戦」という見方は一部にはあったものの、「周知」というわけではなかったらしい。53年8月15日の朝日新聞の「天声人語」には、「原爆の日は覚えていても、終戦の日は『ほうそうだったか』と忘れがちである」とある。
2014年9月1日:終戦の日、実は9月2日? 佐藤卓己・京大准教授に聞く:朝日新聞紙面から
佐藤さんによると、現代史における「終戦」は、休戦が成立した時とみなすことができるという。日本の場合、以下のような候補日が想定される。8月10日(天皇が連合国によるポツダム宣言の受諾を決断した日)、8月14日(天皇が終戦の詔書に署名した日)、8月15日(天皇が朗読した終戦の詔書がラジオで放送された日)、9月2日(戦艦ミズーリ号上で日本政府代表の外相・重光葵(まもる)らが降伏文書に署名し、天皇による降伏詔書が発表された日)などだ。これ以外に大本営が全軍に休戦命令を出した8月16日を終戦とみる研究者もいる。
2014年9月1日:終戦の日、実は9月2日? 佐藤卓己・京大准教授に聞く:朝日新聞紙面から

アメリカ・フランス・ロシアは9月2日

 アメリカとフランスは9月2日を「対日戦勝記念日」にしています。ロシアは同じく9月2日を「第2次世界大戦終結記念日」にしています。中国は日本が降伏文書に署名した翌日(この日に中国各地で祝賀行事が行われた)の9月3日を「抗日戦争勝利記念日」に定めています。一方、韓国は、8月15日を日本統治からの解放を祝う「光復節」にしています。

■各国の大戦の終結に関する日付
【8月15日】韓国
【9月2日】アメリカ・フランス・ロシア
【9月3日】中国

中国の抗日戦争勝利60周年記念大会。北京の天安門広場で、人民英雄記念碑に献花する胡錦涛国家主席(右から5人目)ら中国政府の指導者たち=2005年9月3日
中国の抗日戦争勝利60周年記念大会。北京の天安門広場で、人民英雄記念碑に献花する胡錦涛国家主席(右から5人目)ら中国政府の指導者たち=2005年9月3日 出典: 朝日新聞
アメリカとフランスは9月2日を「対日戦勝記念日」に、ロシアは同じく9月2日を「第2次世界大戦終結記念日」に、中国は日本が降伏文書に署名した翌日(この日に中国各地で祝賀行事が行われた)の9月3日を「抗日戦争勝利記念日」に定めている。日本統治からの解放を祝う韓国の「光復節」(8月15日)を除けば、大戦の終結に関しては9月がグローバルスタンダードのようだ。
2014年9月1日:終戦の日、実は9月2日? 佐藤卓己・京大准教授に聞く:朝日新聞紙面から

玉音放送の存在感

 日本傷痍軍人会が運営する「しょうけい館」(戦傷病者史料館、東京都千代田区)によると、8月15日が「終戦の日」になった背景には、終戦を伝えた昭和天皇の「玉音放送」があるそうです。

 同館によると、法的な根拠とは別に、一般の人にとっては、戦争の終結を告げた放送の存在感が強く、「8月15日=終戦」になったようです。

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