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風営法の改正でフジロックどうなる? 六本木のクラブは壊滅の懸念も
風営法が改正され、来年から夜通しのクラブ営業も可能に。その一方、フジロックなどの音楽フェスやライブハウスへの規制強化につながる懸念もでています。論点をまとめました。
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風営法が改正され、来年から夜通しのクラブ営業も可能に。その一方、フジロックなどの音楽フェスやライブハウスへの規制強化につながる懸念もでています。論点をまとめました。
ダンス営業の規制を緩和する「改正風俗営業法」が先月、成立しました。1年以内に施行され、クラブは条件付きで朝まで営業できるようになります。その一方、フジロックフェスティバルなどの音楽フェスや、ライブハウスへの規制強化につながりかねないと懸念の声も。日本の音楽イベントやナイトカルチャーはどうなるのか。改正法の課題や警察庁の答弁をまとめました。
改正風営法のポイントは、「ダンス」に着目した規制をやめ、ダンスを含む「遊興」全般として取り締まる、ということ。クラブは「特定遊興飲食店」として許可を受ければ、夜通し営業できるようになります。
問題は、音楽フェスやライブハウスまでもが、許可の取得を求められるおそれがあることです。
風営法はこれまでも、飲食店が午前0時過ぎに客に「遊興」をさせることを禁じてきました。警察庁の解釈運用基準によれば、「遊興」とは、①不特定多数の客に歌やダンス、ショー、映画などの興行を見せる、②バンドの生演奏を聞かせる、③のど自慢大会など、遊技やゲーム、競技を行わせる――などの行為です。
従来は違反しても営業停止となるだけで、刑事罰に問われることはありませんでした。ところが、改正法ではアルコールを提供する店が許可なく深夜に遊興をさせると、懲役2年か罰金200万円、もしくはその両方が科されるようになります。
国会の審議では、「遊興」の定義のあいまいさをめぐって質問が相次ぎました。5月27日の衆院内閣委員会で寺田学議員(民主)は、「今回の法改正によって道が開けるとともに、遊興の定義一つによっては、さまざまな営業形態、そしてそれを楽しむ方々の利益や権利が奪われる可能性がある」と指摘。「深夜にお酒を飲ませながら歌舞伎を見せたら、善良の風俗を害するのか」と問い掛けました。
しかし、警察庁の辻義之生活安全局長は「一つ一つのことについて、これだと害するかというお尋ねをされても、お答えするのはなかなか困難かと思います」と答弁。寺田議員が「あなたが答えを出さない限り、やっている側は自分たちの行為が当てはまるかどうかわからないじゃないですか」と語気を強める一幕もありました。
また、穀田恵二議員(共産)は、遊興の範囲をめぐって要領を得ない答弁を繰り返す警察庁を「国会でもハッキリ答弁ができないのに、どうやって現場は判断するのか」と批判。幅広い遊興規制を「焼け太りだ」と断じました。
参議院でも、遊興が最大の焦点となりました。小坂憲次議員(自民)は6月16日の参院内閣委員会で、ピアノの生演奏や深夜のライブハウス営業について「内容が健全なもので、周辺からの苦情もなく営業していたお店が、この法律の施行に伴い許可が必要になるんでしょうか」と質問。辻局長は「全てに全く規制なしということではなくて、やはり種々の問題、これまでに発生したこともございますので、許可を受けた方に深夜において遊興をさせるということを認める」と答えました。
超党派の「ダンス文化推進議員連盟」の会長でもある小坂議員は「今回の法律が、規制の緩和ではなくて、むしろ規制の強化ではないかと言われてしまうことにもなりかねない」と懸念を表明。今後、運用基準のなかで、遊興の範囲を明確化していくことを求めました。
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