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超絶技巧の飴細工「命が宿ったよう…」 独学で習得、26歳の生き様
東京・浅草の飴(あめ)細工が「命が宿ったよう」「食べるのがもったいない」とネット上で話題になっています。
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東京・浅草の飴(あめ)細工が「命が宿ったよう」「食べるのがもったいない」とネット上で話題になっています。
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東京・浅草の飴(あめ)細工が「命が宿ったよう」「食べるのがもったいない」とネット上で話題になっています。飴が冷めるまでの約3分間で仕上げる匠の技。作っている手塚新理さん(26)の前職は花火職人で、飴細工は独学で身に着けたといいます。
今戸神社前にある工房店舗「アメシン」。手塚さんが温めた飴を手でこねて形を整え、手に握ったハサミで切り込みを入れる。まるでハサミが指の一部になって7本の指が動いているかのような手際の良さで、あっという間に金魚が完成。その時間およそ3分。
「飴の芯が固まってしまうと作れなくなるので、ハサミを持ちかえる時間でさえ無駄にできません。だから最短距離がどこなのか常に意識しながら作業しています」と手塚さん。繊細で扱いにくい飴細工。制限が多いからこそ、その中で何ができるかを追究するのが面白いといいます。
千葉県出身の手塚さんは地元の高専に進み、機械科でものづくりの基礎を学んでいました。友人がリニア新幹線の開発などを志すなか、19歳のときに「刺激が足りない」と花火師になることを決意。火薬の製造や取り扱いに関する資格をとった上で、卒業後に県内の花火屋に入りました。
しかし、海外製が増える現状に「目指すものが違う。もっとごまかしの利かない世界に挑戦したいと」と2年ほどで退社。他の花火師から「一緒にやらないか」と誘われましたが、「自分は何がしたくて、何をすべきなのか整理したい」と断り、貯金を切り崩しながらの生活が始まりました。
そんなときに見つけたのが飴細工の世界。調べてみると、やっている人は少なく、「この人のもとで学びたい」と思える人が見つかりませんでした。そこで、飴づくりに関する文献やインターネット上の情報をもとに独学で技を磨くことに。「半年ほど家に引きこもって研究していたので、両親からかなり怪しまれました」と手塚さん。まずはホームページを立ち上げて、企業のイベントなどで実演することから始めました。
作品はツイッターなどを通じて話題になり、手土産用に買ってくれるリピーターも増え、浅草の観光客も足を運ぶように。また、海外からの問い合わせも増えて、先日はニューヨークで作品展示や体験教室を開きました。
「飴細工は江戸時代以前からあるストリートカルチャーで、時代に合わせて進化してきました。伝統工芸としての価値にぶら下がっていても衰退するだけなので、千年先を見据えて作っています」と手塚さん。伝統を残すのではなく、自らが発展させていくという意気込みがあふれています。
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アメシンでは飴細工の制作・販売だけでなく、体験教室も実施しています。詳しくはホームページで。