お金と仕事
日本初の「ドローン保険」、東京海上が7月発売 産業利用が本格化
ついに日本で「ドローン保険」が発売されます。
「ドローン」と呼ばれる小型無人ヘリの産業利用が、日本でもいよいよ本格化しそうです。東京海上日動火災保険は、産業用ドローンの故障や墜落のリスクをカバーする国内初の保険を7月に開始することを決めました。一方、カメラ搭載用のドローン製造で世界最大手の中国企業・DJI社は今月、10万円台の新型機を発表。日本の空の「ドローン時代」の幕開けが近づいています。
DJIは今月8日(日本時間9日)、同社の空撮用ドローンシリーズの最新作「ファントム3」をニューヨーク、ミュンヘンなどで世界同時発表。フルHD動画対応の機種をわずか999ドルという低価格で打ち出しました。日本でも10万円台前半の価格設定になると見られ、一般ユーザーがより手軽に空撮を実現できそうです。
ファントム3は、手元のリモコンで画面を見ながら、リアルタイムでの空撮が可能。通信が途絶えた時にはGPSで自動的に戻って来る機能や、空中での安定的なホバリング(飛びながらの静止)、20分以上持つバッテリーなど、低価格帯ながら高機能です。DJI社はこうしたドローンを次々と開発し、急成長。検索大手グーグルや電気自動車メーカーのテスラなどと並んで、米誌の「世界で最もイノベイティブな企業TOP10」にも選ばれています。
日本でもファントムシリーズや、仏メーカー「パロット」のドローンを使って、一部のマニアがすでに空撮を始めており、ユーチューブなどに動画が投稿されています。海外では、火山口など有人ヘリが近づけない場所の空撮映像が話題になっています。しかし、ドローンは墜落の危険性が低いもののゼロではなく、人が多い街中での撮影はあまり進んでいません。新聞社やテレビ局も積極利用を検討していますが、事故のリスクがつきまとっていました。
こうした中、保険大手の東京海上日動火災保険は、7月から「産業用無人ヘリコプター総合保険」の販売を開始します。ドローンが落下して人やモノが傷ついたり、機体が壊れたりした場合に保険金を支払います。また、機体の盗難や、行方不明時の捜索費用も保険対象に。
同社広報は「これまで個別の企業ごとに“オーダーメイド”のこうした保険をつくることはありましたが、産業用ドローンを幅広く扱う保険は日本で初めてです」としています。
産業用のドローンは日本でも、実用化され始めています。
綜合警備保障(ALSOK)は昨年10月から、大規模太陽光発電施設(メガソーラー)の点検業務などにドローンを導入。茨城県や沖縄県の施設で、ソーラーパネルの点検をしています。大きな鳥の糞などがパネルに付くと発電効率が落ちるため、赤外線カメラを積んだドローンで巡回します。人手だと6時間かかる点検作業が、ドローンなら15分。同社は橋の点検業務などにもドローンを使えるよう、国土交通省などと実証実験を進めています。
警視庁も昨年末、災害対策や警備機能を強化するためにドローンを導入。高度120メートル、半径300メートルまで飛行可能で、映像をリアルタイムで地上に送信します。2020年の東京五輪・パラリンピックでの使用も検討しています。
政府は、ドローンが飛べる高さや使える無線の周波数、利用範囲などの法整備を検討しています。事故防止や盗撮などからのプライバシー保護、産業活用など様々な課題があるなか、今後の環境整備が進めばドローンを利用した様々な企業活動が生まれそうです。