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幸福の科学、私塾に260人入学へ 俳優・ジャーナリスト養成計画も
宗教法人「幸福の科学」の私塾「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)」が、定員240人を超える約260人の入学生を集めたことが分かった。大学設置を不認可とされたため、私塾として4月に開学する。ただ、卒業しても「大卒」とはならず、学生のほとんどは信者とみられる。開学後も大学としての認可を目指し、俳優やジャーナリストを養成する学部の新設も計画している。
HSUは、幸福の科学総裁の大川隆法氏を創立者として、宗教法人としての幸福の科学が主体となって運営。大学として千葉県長生村に建設していたキャンパスに、「人間幸福学部」「経営成功学部」「未来産業学部」の3学部(4年課程)を設ける。
大学認可申請時点の3学部の定員は計240人だったが、すでに約260人が入学を予定しているという。HSUの広報担当者は「ほとんどが(幸福の科学の)信者だと思われる」としている。
ただ、文部科学省大学設置室によると、「大学」として学校教育法上の認可を受けていないため、学生は大学卒業資格を得られない。
系列校の「幸福の科学学園」高校(栃木県那須町)からは、卒業生100人のうち約80人がHSUに進学するという。
同高校は難関大合格のための受験教育に力を入れており、ホームページによると、この春は東大と京大にそれぞれ2人、早稲田大に33人などの合格者がいる。
HSUの教員は、約100人を確保。「その多くが他の大学や研究機関からの招聘(へい)」という。
また16年度には、新たに「未来創造学部」を設置する計画だ。「政治・ジャーナリズム専攻」と「芸能・クリエーター部門専攻」の2コースでそれぞれ、政治家やジャーナリスト、キャスター、俳優やタレント、映画監督などの人材輩出を目指すという。
「多くの人々を幸福にする政治・文化(芸能)の新しいモデルを探求し、マクロ的影響力を持つ徳ある人材を養成」(幸福の科学のホームページ)するのが狙いだ。
これら芸能やマスコミの分野で、大川氏は「俳優・木村拓哉の守護霊トーク 『俺が時代を創る理由』」「ナベツネ先生 天界からの大放言 読売新聞・渡邉恒雄会長守護霊インタビュー」といった著作がある。
しかし、こういった「霊言集」はテキストにはせず、講義テキストは別途制作中という。
幸福の科学による大学設置をめぐっては、文科省の審議会が14年10月、「科学的合理性が立証できていない『霊言(霊言集)』を根底に据えるという教育方針」を理由に不認可を答申していた。
これに対して幸福の科学側は、「霊言を根底に据えた教育課程など作成しておらず、申請書本文に「霊言」という言葉は一切出てこない」と反論。HSUでも霊言集をテキストには用いないと主張している。
大川氏は著作「教育の使命―世界をリードする人材の輩出を」の中で、「私たちは、理想的な教育を試みることによって、本当に、『この国の未来を背負って立つ人材』を送り出したいのです」と開学の意義を強調する。
幸福の科学は、HSUの開学後も引き続き、大学としての設置認可を目指すという。