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北欧女子、日本の不思議をマンガに 「行けたら行く」って来ないの?
スウェーデン出身のオーサ・イェークストロムさん。日本での暮らしで感じたギャップを、4コマ漫画でゆるくかわいく描いた、異色のエッセー本が出版されました。
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スウェーデン出身のオーサ・イェークストロムさん。日本での暮らしで感じたギャップを、4コマ漫画でゆるくかわいく描いた、異色のエッセー本が出版されました。
北欧・スウェーデン出身の女子が描く、4コマ漫画。しかも日本語で。異色のエッセイ本が出版されます。
著者は、オーサ・イェークストロムさん(31)で、タイトルは『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』(KADOKAWA メディアファクトリー:税込1080円)。金髪で青い目という、日本人がイメージする典型的な欧米女子という外見なんですが、なめらかな日本語を話し、漫画には、「啓示」「過負荷」などの漢字も出てきます。4コマ漫画を載せたブログは、アメブロ総合1位にもなりました。
13歳の時にスウェーデンで見たアニメ「美少女戦士セーラームーン」に衝撃を受け、日本のアニメや漫画を大好きになったそうです。「タキシード仮面様と付き合う!と思っていましたね」とオーサさん。同じように思っていた日本の女子も多いのでは? そのうち、日本の女の子たちも通る道、「自分でキャラクターを描く」「物語を作る」ようになりました。
欧米には、いわゆる日本の「少女マンガ」のようなタッチで描かれたコミックはあまりありません。日本のアニメや漫画好きの仲間とネット上などで情報を交換し、VHSのビデオテープを借りて見たり、漫画をコピーしたりしてまねしたといいます。
高校卒業後はコミックスクールに通い、スウェーデンで漫画家としてデビュー。当時の作品も、見事に日本の少女マンガっぽいですね。単行本全3巻に加え、イラストを担当した本が13冊出版されています。
日本には、何度も旅行で訪れている中で、日本人や食べ物など、日本そのものが好きになって、「とにかく日本で暮らしてみたい!」と思うようになったそうです。
スウェーデンでは漫画のマーケットが大きくないことや、日本の漫画のレベルの高さもあり、2011年に思い切って引っ越すことに。7回目の来日でした。
グラフィックデザインの専門学校に通いつつ、空き時間に漫画を描くことを目指しました。勉強しつつ、ストーリー漫画を描くのは厳しく、日常生活で感じる日本の文化とのギャップを、4コマ漫画形式でブログにつづっていたところ大人気になり、書籍化につながりました。
北欧女子から見た日本。どんなところに驚きを感じているのか、気になりますね。詳しくは本を読んでいただきたいのですが、いくつか例を。
混乱したのは「行けたら行く」だそうです。「『行く』って行ったのに!ってなりましたね。スウェーデンでは、かなりはっきり伝えます。『ありがとう、でも行けないわ』というような感じですね」。「できかねます」も相当難しかったようです。
否定の言葉を使いたがらない日本人とのコミュニケーションは、たしかに行き違いが起きそうです。通っている学校で、職員に「個人的なコピーを取りたい」と伝えた時。「学校に関係ないものなら『難しいです』…」と言われ、「難しいです」=「交渉をすればいい」と思い、「明日、白紙の紙を2枚持ってきて渡します」と粘ったそうです。職員さんは「断ったのに…」と思ったでしょうね。
「何となく決まってるルールが多いなあ」という印象も。たとえば、就職活動。「黒いスーツを着て、染めていた髪は黒くして束ねるとか、働く内容とは全然関係ないことも多いのに、『そういうものなの』というように決まっていますよね。なんか変だなあと思いました」。
女子ならではの視点も満載。「セクシーについての考え方の、日本とスウェーデンの違い」「かわいく撮れたから、履歴書にプリクラはっちゃった」「コンパスにまで『可愛い』という言葉を使うなんて、可愛いの範囲がわからない」など、ちょっとした出来事について、ゆるかわタッチの漫画で描かれています。
今後について、オーサさんは「日本のマーケットで、ストーリー漫画を描いてみたい思っています。たとえば、ヴァイキングものとか。北欧の歴史をからめて描くことができたら、自分ならではのものになるんじゃないかな」と話しています。