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樋渡氏、なぜ負けた? 自民層は互角、勝負分けたのは…佐賀知事選
佐賀知事選で落選した前武雄市長の樋渡啓祐氏。「ツタヤ図書館」を手がけるなど知名度の高さが売りでした。勝敗を分けたのは何だったのか。出口調査から振り返ります。
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佐賀知事選で落選した前武雄市長の樋渡啓祐氏。「ツタヤ図書館」を手がけるなど知名度の高さが売りでした。勝敗を分けたのは何だったのか。出口調査から振り返ります。
佐賀知事選で落選した前武雄市長の樋渡啓祐氏。「ツタヤ図書館」を手がけるなど知名度の高さが売りでしたが、元総務官僚の山口祥義氏に4万票近い差をつけられました。佐賀県では、2005年の佐賀市長選で、改革派といわれた現職市長が落選したこともありました。勝敗を分けたのは何だったのか。出口調査から振り返ります。
樋渡氏の代名詞ともいえるのが「ツタヤ図書館」です。レンタルソフト大手ツタヤの運営会社と組んでリニューアルした図書館です。年中無休でDVDやCDもレンタルでき、館内でコーヒーを飲めます。図書館の常識を打ち破った新図書館は2013年4月の開館以来、1年1カ月で全国から100万人の来館者を記録しました。武雄市を名前を全国的に有名させました。
知事選で樋渡氏は自民党の推薦を受け、菅義偉官房長官らが応援に駆け付けるなど、政権の全面支援を受けました しかし、樋渡氏は自民支持層の49%しか固めきれず、逆に山口氏は46%を獲得。山口氏には、樋渡氏に反発する自民県連や首長、農協などが付き、ほぼ互角となりました。
民主支持層を見ると、樋渡氏は29%にとどまる一方、民主党の大串博志衆院議員が積極的に応援し、連合佐賀も支援するなどした山口氏は56%の支持を得た。公明支持層は、公明党推薦の樋渡氏に73%が投票しました。山口氏は18%でした。
勝敗を分けたのは何だったのか。民主支持層に加えて、無党派層の存在も大きかったようです。樋渡氏は、知名度の高さから、積極的に街頭に出て演説などを繰り返すスタイルを取りましたが、取り込めた無党派層は32%でした。逆に、山口氏は54%の支持を集めました。樋渡氏を巡っては、「改革」を進める際の手法や言動を「強引」「独善的」とする批判が常につきまといました。さらに、樋渡氏を推す政権幹部が、対立候補擁立に横やりを入れるなど、中央の介入が、かえって「反樋渡派」の結束を強めた面もありました。
佐賀県では、2005年の佐賀市長選で急進的な行政改革を進めた元佐賀市長の木下敏之氏が、議員との対話を重視する路線の秀島敏行氏に敗れるという波乱がありました。樋渡氏の政治手法に対して、反発を感じた県民が少なくなかったことが、出口調査からは見えてきます。