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幸福の科学、不認可大学を私塾として来春開校「霊言は根底にすえず」
学校法人「幸福の科学学園」が新設を申請し、「霊言」に基づいた教育方針を理由に文部科学省から「不認可」とされていた幸福の科学大について、「私塾」として来年4月に開校することがわかった。幸福の科学は「付属校の生徒など多くの進学希望者の要望に応えたい」としている。
学校名は「ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)」。幸福の科学総裁の大川隆法氏を創立者として、宗教法人としての幸福の科学が主体となって運営する。
「人間幸福学部」「経営成功学部」「未来産業学部」の3学部(4年課程)を用意。開校を知らせるウェブページでは、「プロの宗教家・宗教エリートを目指す」「『幸福の科学教学』を学ぶ」などと説明しており、大川氏の著作をテキストとする授業もあるものとみられる。
定員は計240人で、千葉県長生村に大学として建設していたキャンパスをそのまま活用する。カリキュラムは大学設置認可の申請内容を踏襲しており、開校後も認可を求める方針は変わらないという。
ただ、文科省大学設置室によると、認可を受けていないため、現時点では学校教育法の定めで「大学」を名乗ることはできず、私学助成金の交付や、大学入試センター試験の利用などはできない。また、卒業生の学歴も「大卒」とはならない。
幸福の科学大をめぐっては、文科省の審議会が今年10月、「科学的合理性が立証できていない『霊言(霊言集)』を根底に据(す)えるという教育方針が、学校教育法に定める『学術の中心』としての大学の目的を達成できるとは認められない」として、不認可を答申。
さらに、「設置認可の関係者の『守護霊本』が複数出版されたりするなど、認可の強要と思われるような不適切な行為があった」として、最長5年間は認可しない方針を伝えていた。
これについて幸福の科学側は、「霊言を根底に据えた教育課程など作成しておらず、申請書本文に「霊言」という言葉は一切出てこない」と反論。HSUでも、霊言そのものを取り上げたカリキュラムは用意していないという。
幸福の科学は「大学として開学するまでの期間の、進学希望者の要望に応えた。入学希望者は順調に集まりつつある」(グループ広報局)と、HSU開校の意図を説明している。
その一方で、「憲法が保障する『学問の自由』『信教の自由』を侵害する不正行為そのもの」と、文科省の不認可判断にあらためて反論。弁明請求書を提出するなど、抗議の姿勢を崩していない。