お金と仕事
もやし協会「限界だ。1袋40円に」 円安直撃、そもそもなぜ安い?
安くてヘルシーな「もやし」。野菜炒めやラーメンに欠かせない野菜が、値上げされそうです。
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安くてヘルシーな「もやし」。野菜炒めやラーメンに欠かせない野菜が、値上げされそうです。
安くてヘルシーな「もやし」。野菜炒めや山盛りのラーメンに欠かせない野菜が、値上げされるかもしれません。最近の円安や、もととなる緑豆の高騰で、生産現場で吸収するのは限界に達しているというのです。
生産者らでつくる「工業組合もやし生産者協会」は10日付けで、「もやし原料種子の高騰について」と題した文書を郵送しました。
送り先は、市場関係者やスーパー各社など544ヶ所。「これ以上の経費削減への企業努力はすでに限界を超え、健全な経営ができていない」と訴えています。
もやしとは、緑豆や大豆などを発芽させたものです。
8割を緑豆が占めており、その大半が中国からの輸入ですが、トウモロコシなどへの転作が進んで生産は減っているそう。
さらに、9月の収穫期に雨が続いたため品質が悪化。もやしとして発芽させるのに適した緑豆が激減したそうです。
加えて、追い打ちをかけたのが急速な円安。
協会は「生産者が仕入れる2014年産の緑豆の価格は、10年前と比較して約3倍、前年比では40~50%増と大幅に上昇することが予想される」と危機感を募らせています。
国の統計から協会がまとめた資料によると、もやしの平均小売り価格は下落傾向が続いています。
世帯当たりの購入量(2人以上の世帯。単身世帯は除く)はおよそ5kgだったのが7kgに増えた一方、価格は2000年に100gあたり19.15円だったのが、2013年には14.64円に下がっています。スーパーなどで売っているものは1袋200gなので、最近は1袋30円程度ですね。
なぜもやしはこんなに単価が安いのでしょうか?
理由の一つは、ほかの野菜に比べて「工場化」が進んでいるからだといいます。
もやしは豆自体の栄養で育つため、肥料が必要ありません。水があれば育てることができ、光や土も不要で、室内で栽培できます。
また、1週間から10日ほどで出荷できるメリットもあります。
究極まで効率化をすすめた結果、コストに占める原材料費の割合が高くなりました。それだけに、今回の緑豆高騰や円安の影響をもろに受けてしまったというわけです。
もやしが低価格で流通しているもう一つの理由は、多くの小売店が安売りの「目玉商品」として売っているからです。
他の野菜と違い、天候に左右されにくいため、年間通して価格がほぼ一定しているもやし。
だからこそ、これが安ければ消費者は「この店は安い」と感じ、目玉商品になりやすいそうです。
小売店によっては「お客さんを呼ぶには、コストをかけて広告を出すよりも、モヤシを安く売って損をした方がいい」と考え、赤字覚悟で出す店もあるといいます。生産者側もなかなか原材料費の高騰分を小売店に求められていない実情もあります。
協会によると、2009年に200社以上あった生産会社は、現在150社を割りました。協会の林正二理事長はこう話します。
「みなさまのおかげでなんとか続けてこれましたが、せめて1袋40円にして頂きたい。特別な値上げではなく、かつての適正な価格に戻して頂きたいというお願いです」