話題
ひっつき虫の「オナモミ」実は絶滅危機 毛の少ない外来種が大暴れ
ひっつき虫こと「オナモミ」。実は環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているのをご存じですか?
話題
ひっつき虫こと「オナモミ」。実は環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているのをご存じですか?
小さいころ、草むらで遊ぶと必ず服についてきたアイツ。
いっぱい集めて友達の服めがけて何度も投げつけたアイツ。
そう、ひっつき虫こと「オナモミ」です。
環境省のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているのをご存じですか?
環境省は「絶滅の危機に瀕している種」(絶滅危惧I類)と「絶滅の危険が増大している種」(絶滅危惧II類)をあわせて絶滅危惧種と呼んでいます。
オナモミがII類として掲載されたのは、2007年の第3次レッドリスト。
ほぼ5年おきに見直されますが、2012年の第4次にも掲載されています。
その背景にあるとみられるのが、外来種「オオオナモミ」の存在です。
環境省のホームページに「要注意外来生物リスト」が掲載されていて、そこにオオオナモミに関する記述がありました。
日本生態学会によって、日本の侵略的外来種ワースト100にも選定されているようです。
静岡県富士市が作成した自然環境マップに、両者を比較した画像があります。
「オオオナモミの実にはオナモミよりもずっと多くの棘が出ていて、毛が少ない」と書かれています。
そうは言っても、両者を並べてみないと見分けがつかないように思えます。
富士市では、オオオナモミが増えた一方、オナモミはめったに見られなくなったそうです。
レッドリストの資料によると、オナモミは北海道から沖縄にかけて分布していたものの、地区によっては絶滅したところもあるようです。
やはりオオオナモミの影響なのでしょうか?
環境省野生生物課に聞いてみたところ「はっきりと断定できません」と前置きしたうえで、こう答えてくれました。
「北米原産のオオオナモミが日本に入ってきたのは1929年とされています。もしかしたらオナモミだと思っていたものも、オオオナモミだった可能性があります」
私が遊んだ「ひっつき虫」、あなたはいったい何者だったのでしょうか。
滋賀県立大学の高倉耕一准教授(個体群生態学)に話を聞きました。
オナモミについて詳しい高倉さんですが、野生のオナモミは見たことがないそうです。
「西日本では1960年代には姿を消したとみられます。その減り方も急だったようです」
それもあってか、図鑑でさえオナモミと外来種のイガオナモミを間違って掲載しているものがあるといいます。
高倉さんは、オオオナモミとイガオナモミの関係について研究しました。
その結果、両者が近くにあると、互いに種(たね)が出来にくくなることがわかったそうです。
「オナモミとオオオナモミでも同じような関係があって、オナモミが減った可能性があります」