お金と仕事
初代ユニットバス、都内に現存していた 東京五輪50年を機に里帰り
50年前の東京オリンピックに合わせて開発された初代ユニットバス。都内の高級ホテルから北九州に里帰りすることが決まりました。
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50年前の東京オリンピックに合わせて開発された初代ユニットバス。都内の高級ホテルから北九州に里帰りすることが決まりました。
50年前の東京オリンピックに合わせて開発された初代ユニットバス。
今年に入って都内の高級ホテルのオフィスフロアに置かれているのが見つかり、話題になりました。
考案したTOTOは「技術開発の歴史を伝える貴重な資料」として、北九州市にある本社に移して展示することを決めました。
初代ユニットバスが発見されたのは、9月1日で開業50周年を迎えたホテルニューオータニ(東京都千代田区)。
薄緑色をした浴槽の大きさは145センチ×72センチ。
洗面台のカウンターの素材には、当時の最新技術だった繊維強化プラスチック(FRP)が採用されています。
この初代ユニットバス、実はTOTOにも残っていない「貴重品」でした。
ニューオータニは、1964年10月の五輪開幕に間に合わせるため、1年5カ月という短い工期で建てられました。
17階建てで、客室は1000室以上。当時は客室の浴室を一つつくるのに1カ月以上かかったそうで、これを大幅に短縮しなければ、五輪の開幕には間に合いませんでした。
そこでTOTOは、軽量のFRPを採用し、工場で作って建設現場に運ぶ「プレハブ化」を実現。
ユニットバスの据え付け作業を、わずか3カ月半で成し遂げたのです。
TOTOのユニットバスの累計販売台数は、この半世紀で約860万台にのぼります。
その後、他のメーカーも追随。今ではユニットバスは国内の浴室の95%を占めるまでに普及しました。
ニューオータニは90年ごろから大規模な改修工事を実施しており、客室のユニットバスもすべて新品に交換されています。
そんななか、オフィスフロア3階のスペースにあるのをニューオータニ社員が気づいたそうです。
元々は客室として使われていた場所。偶然にも改装されず、ひとつだけ残っていたのです。
それを聞いたTOTOが「工事費用を負担するので北九州に移設させてほしい」と打診。ニューオータニ側も快諾しました。
来年秋に本社に設置される資料館に移して、一般公開するそうです。
「博物的な価値のあるユニットバスです。日本の技術開発の歴史を伝える資料を多くの人に見ていただきたいと思います」(TOTO広報部)