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タモリが32年使った控室に潜入 いいとも終了で新宿アルタは?
「笑っていいとも!」の収録スタジオだった新宿の「アルタ」。そこには、32年間にわたってタモリさん専用として使われていた控室があります。
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「笑っていいとも!」の収録スタジオだった新宿の「アルタ」。そこには、32年間にわたってタモリさん専用として使われていた控室があります。
今年3月、長い歴史に幕を閉じた「笑っていいとも!」。この番組を収録していたのが新宿東口の「スタジオアルタ」です。いいとも!と共に歩んできたスタジオは今、どうなっているのか? スタジオだけでなく、32年間にわたってタモリさん専用として使われていた控室も見てきました。
ビルに取り付けられた「アルタビジョン」と呼ばれる大きな画面。新宿東口の待ち合わせ場所として有名ですね。このビルの7階にスタジオはあります。
会社が設立されたのは1980年。三越が60%、フジテレビジョンが30%、ニッポン放送が10%出資してスタートしました。
いいとも!がスタートしたのは2年後の1982年。前身である「笑ってる場合ですよ!」も、ここで収録されていました。
スタジオアルタのメディア営業部担当部長の山本浩司さんに、いいとも!時代の話を聞きました。
「AD、技術担当、そして芸人さんにとって登竜門の番組でした。生放送の真剣勝負で日々鍛えられていく。ADがプロデューサーになったり、局長になったり。最初は『○○くん』だったのが『○○さん』になっていくんですよ」
収録がある日は朝から13時半ごろまで使用していたそうです。
あれっ、放送は13時まででしたよね?
「『後説』と呼ばれる出演者とお客さんのやりとりがあるんです。増刊号で放送されてた部分です」
収録終了後にスタジオの予約が入っている場合は、番組セットをバラして片付けます。手慣れた作業で18時には使える状態にしていたそうです。
設備のデジタル化のため、1カ月ほどスタジオアルタでいいとも!の収録ができない時期がありました。
そのとき、タモリさんは「やっぱりアルタがいいな」と言ったそうです。
「スタジオの広さは243.5平方メートルでそれほど広くありません。その分だけ、出演者・お客さん・制作者の距離が近いんです。そこを気に入っていただけたのではないでしょうか」と山本さん。
いいとも!終了後には「タモロス」という言葉が話題になりました。
タモリさんがいないお昼どき、気だるい喪失感に襲われるというものです。
ある意味、スタジオアルタもタモロス状態にあります。
いいとも!の収録がなくなったことで、2015年3月期は営業赤字になる見通しです。
ただ、それを補う動きもあります。
これまで使えなかったお昼の時間も活用して、音楽ライブやトークショー、結婚披露宴といった多様な使い方を提案しています。
また、スタジオ運営だけでなく、コンテンツ制作(スタジオアルタで収録するかどうかを問わず)や、アルタビジョンで放送する中身の営業活動にも力を入れています。
山本さんはこう話します。
「これまではスタジオアルタ=いいとも!でした。それに代わるものはなかなか見つかりませんが、新しい代名詞を探して、考え方を変えたり、アイデアを出し合ったりしているところです」
取材の最後に、スタジオを見せていただきました。
確かに狭く感じます。この空間に、出演者とあれだけのお客さんが入っていたのかと思うと驚きです。
番組冒頭でタモリさんが画面右側から登場して、セットの階段を下りてくるシーンがあります。
そのセットが置かれていた場所は、日焼けしたように色が変わっていました。
その後、タモリさんや出演者の控室へ。
番組開始前の予告で出てきた、あの場所です。
水色の扉に「F」と書かれているのがタモリさんの部屋です。
32年間ずっとタモリさん専用だったそうです。
中に入るとソファやテーブル、テレビモニターや手洗い場もあります。
「今では他の部屋と同じにしてありますが、当時はタモリさん用にアンティーク調の木製デスクがありました。大好きな電車の時刻表や船に関する本が並んだ本棚もありました」と山本さん。
番組開始前、ここでどんなことを考えていたのか。
想像しながらタモリさんがスタジオに向かう道のりをたどってみました。
スタジオの扉を開け、セットの階段を下りたつもりで正面を見据えると、満員の観客に出迎えられている気になりました。
「これが32年間、タモリさんが見ていた景色か」
感慨深くなってしまいました。
控室の隣には出演者用のメイク部屋もあります。こちらも意外と狭く、入れ替わり立ち替わりで使っていたそうです。
紹介した控室やメイク部屋は、スタジオを借りれば無料で使うことができます。
(もちろんタモリさんが使っていた部屋も)
スタジオの使用料は1時間45000円からで、これとは別に照明や音響などの費用がかかります。
予算をあらかじめ伝えれば、どんなことができるかについて相談に乗ってもらえるそうです。
この記事を読んで使ってみたくなった方。問い合わせ先はこちらです。
スタジオアルタ・メディア営業部(03-3350-1290)
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