話題
たかの友梨氏がパワハラ?「あなた会社つぶすの」 録音データ公開
エステサロン大手「たかの友梨ビューティクリニック」を経営する高野友梨社長が女性従業員にパワハラ行為をしたとして、支援する弁護団らが録音データを公開した。
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エステサロン大手「たかの友梨ビューティクリニック」を経営する高野友梨社長が女性従業員にパワハラ行為をしたとして、支援する弁護団らが録音データを公開した。
エステサロン大手「たかの友梨ビューティクリニック」を経営する「不二ビューティ」(本社・東京都)の女性従業員が加入するブラック企業対策ユニオンは28日、同社の高野友梨社長(66)から、組合活動をしていることを理由にパワーハラスメントを受けたとして、宮城県労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。記者会見も開き、「パワハラ時の録音」とされる音声記録を公開した。(※2018年8月29日追記 記事で取り上げた裁判はすでに和解が成立しています)
同ユニオンや弁護士によると、ユニオン側は今月22日、仙台労働基準監督署が 「たかの友梨ビューティクリニック」の仙台店での残業代の減額などに是正勧告を出したことについて記者会見する予定だった。そのことを知った高野社長は、前日の21日に急きょ仙台市を訪れ、仙台店の従業員15人や店長らを飲食店に集めたうえ、この女性従業員に対して2時間半にわたり話し続けたという。
高野氏は、録音された会話の中で、この女性従業員に対し持論を展開した。
未払いが問題になった残業代については「残業代といって改めて払わないけれども、頑張れば頑張った分というのがあるじゃん。そうやって払っている」と、支払いが適正ではない可能性を認めた。弁護団によると、月間77時間の残業に対して12万円が支払われるべきところ、3万5千円ほどしか支払われないケースがあり、こうした事例が横行している可能性があるという。
また、女性従業員が労働環境の改善を訴えてることについては「つぶれるよ、うち。それで困らない?この状況でこんだけ働けているのに、そういうふうにみんなに暴き出したりなんかして、あなた会社潰してもいいの」と迫った。
さらに、残業や休日労働をさせる場合には、労使で書面による協定を事前に結ぶ必要があると定めた36協定(労働基準法第36条)については「みんな各店うやむや」「うかつだった。知らないもん」などと述べた。「法律どおりにやったらサービス業は上昇しない」とも話した。
録音されたのは仙台市内の飲食店の個室。この女性従業員が働く店舗の管理職やほかの従業員ら計18人が同席したという。高野氏はこの女性従業員の正面に座り、周囲の他の従業員が労組に入ったかどうかを確かめる場面もあった。
女性従業員は記者会見で「(周囲の)全員があたしと院長を見ている中で2時間半、至近距離で名指しされて。恐怖でした」と話した。この従業員は精神的ショックを受け、出社できない状況が続いているという。
会見に同席したエステ・ユニオン(ブラック企業対策ユニオン エステ支部)の執行委員、青木耕太郎氏は「逃げ出すこともできない場面で、社長が一従業員にパワハラをしている。一従業員に『会社をつぶすのか』というのはあまりにも一方的なやり方だ」と批判した。
このほか、録音の後半では、高野氏が作成したという文書を管理職が代読し、この店舗の従業員らに聞かせる場面もあった。内容は以下の通り。
高野友梨氏:
それで、あと全店FAXしたのを。特に、みんなすごく不安に打ち震えてるじゃない。各店員が、なんか高野がおかしいことやってるんじゃないかと。思うので、ちゃんと私は私で、反論を出す、反論というかね、事情説明をしましたんで。それを(※管理職)読める? (略)これは私が書いてきて全店にFAXしました。はい。読める?(略)
管理職による代読:
たかのファミリーへ。
最近、サロンに、ユニオンという所からはがきが届いているところがあるかと思います。そのことに対して、経過説明をします。仙台店の社員数名が、「ユニオン」という団体に加入し、「正義」という名を借りて、会社に待遇改善の団交を要求、また、労基署にも訴えたり、マスコミにも過激な文章を流したり、各サロンにも2回も団体への入会勧誘のはがきを出したりしています。
ユニオンはともかく、働きやすい会社を作りましょうと、正義という名を借りて、自分の要求をしてきます。また、長年勤務してくれていたベテランセラピストが、職場にいながら、会社に矢を向けています。勤勉で、心あると思っていた社員が、いきなり、会社誹謗の反旗を掲げる。創業36年、初めてのことです。(略)
何もできなかったみんなは、給与を得ながら、アカデミーに、エステの基礎を学び、一年間は大切なお客様に、拙い技術で迷惑をかけながら、一歩一歩腕を上げていけた。お客様のクレームや危害は、すべて会社が解決していった。先輩はみんなのために、残って教えてくれた。店長は自腹でごはんをご馳走してくれた。悩んでる時は一緒に泣いてくれた。
やめた仲間も多々いる中で、頑張ってきたあなたは、ある日お客様のありがとうの言葉でじーんとして、この仕事で頑張ろうと覚悟を決めた。もっと違う仕事もあるし、楽な仕事もあります。でも、エステをやるなら、たかのでやると心に決めたあの日がある。(略)
新年会や運動会で仲間と盛り上がった。いろんな青春の思い出を泣いたり笑ったりして、大切な仲間がいるから、そして会社は人として女性として、技術はもとより、成長できる自分磨きの場所だった。上質なお客様、すてきなインテリア、最先端の商材、魅力的な先輩。たかの友梨ビューティクリニックは60歳を超えても働けます。いま現在、働いてる方もいます。独立して成功してる先輩もたくさんいます。高野には新しい出会いと夢があります。皆さんにいまの職場があるのは、先輩たちは汗と涙で頑張ってくれたから。感謝感謝ですね。
昨年度よりさらに働きやすい職場にするために、昇級もし、休みが取りやすいように一部サロンでは連休やお盆休みを作ったり、フレックスをとるよう本部で指導したりしていましたが、なかなか中堅社員の皆さんへの負担がかかっている状況は否めません。いままで頑張った人には、報償や賞与で評価してきましたが、今後はより皆さんの働きやすい環境となるよう変えていきます。働きたい人には違う働き方を考えていきます。
会社を誹謗することは、自分のこれまで頑張ってきた道を汚すことだと私は思います。
昨今、エステ業界は悲惨な現状で閉店を余儀なくされています。原因はお客様の高齢化と少子化による人口減少と消費税の増税等です。当社も例外ではありません。(略)
私たちの職場は客商売であるため、暇な時間もあり、工場や公務員のようにいかないことはご存じのことと思います。エステティシャンは手に職をもった職人です。職人が育つためには勉強と訓練の時間も必要です。思い出してください。あの日、人を癒やしたい、人をきれいにしたいと心に決めた自分の決断を。
とはいえ、会社は古い体質から生まれ変わろうとしています。会社の、そして自分の歴史を汚さないでください。私を好いて、私を信じて、ついてきてください。
高野友梨
①1カ月あたり平均80時間に及ぶ残業
②休憩が取れず、昼食やトイレにも行けないことも
③定休日どおりに休めず、休日出勤への手当もない
④「誰も取っていない」などと説明され、有給休暇を取得できない
⑤残業代の未払い
⑥産休取得の妨害
⑦商品が売り上げ目標に届かないと、カードローンなどで自腹購入させられる
⑧研修費など会社が負担すべき経費が、給与から天引きされる
⑨配置転換をしない約束を無視するなどの不当な異動命令
⑩労使協定書の従業員側の署名・押印を、従業員本人に無断で作成
エステ・ユニオンは、「悪質な労働環境はエステ業界全体にある」として、電話相談(022-796-3894)を受け付けている。
(※2018年8月29日追記 記事で取り上げた裁判はすでに和解が成立しています)