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連載

#8 未来空想新聞

JKが社会の教科書に?決められた「正解」のない未来の若者文化とは

SHIBUYA109 lab. 長田麻衣さんに聞く

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目次

 1979年に誕生したSHIBUYA109(以下、109)。ギャルファッションの聖地だった90年代から、時代に合わせて姿を変え、いつも若者文化の最先端であり続けています。1996年から2012年に生まれた「Z世代」に特化したマーケティングチーム「SHIBUYA109 lab.」所長の長田麻衣さんに、買い物や若者文化の未来を想像してもらいました。

109はオフラインのインスタ。若者の「今」が見える

 長田麻衣さんは、「Z世代」をこう評します。

 「生まれたときからすでにインターネットがあるデジタルネイティブ。そのため、『リアルとデジタルは別モノ』と切り分けるのではなく、『リアルもデジタルもリアル』ととらえています。情報収集やコミュニケーションにはSNSをフル活用しますが、その分、オフラインでいかに充実した体験をするかをとても重視します」

 スマホでほしいものを探し、オンラインで買うことができるにもかかわらず、Z世代は109まで足を運ぶ人が多いと言います。「109に行って買い物するということ自体がエンタメなのです。さらに、失敗したくないという気持ちが強いのも特徴。洋服なら試着してから買いたい。自分の目で確認し判断するという姿勢は、とても堅実です」

 1979年に誕生以来、最先端の若者文化の発信基地として君臨し続ける109は、時代とともに変化してきました。1990年代には渋谷発の「ギャルブーム」が席巻。109にはギャルファッションのショップが並び、ギャルファッションに身を包んだギャルがビルの中にあふれていました。

「あのころはギャルが『正解』だった。みんながその正解を求めて109にやってきたのです」と長田さん。しかし、2020年代の109には、ガーリー系、ストリート系、韓国風など、様々なファッションを扱うショップとそれらを楽しむ若者が集まっています。長田さんはそんな109を「オフラインのインスタグラム」と位置付けます。

 「ファッションはもちろん、SNSで発信したくなるようなスイーツ、推しのアニメやアイドルを応援する『ヲタ活』が楽しめるショップなど、若い人が好きなコンテンツが多彩に詰まっていて、109の上から下まで全部まわると『今』が見える。その感覚はインスタグラムに近いと思うのです」

「推し」とバーチャルデート?広がる109の未来

 オフラインの体験を重視する世代だからこそ、オンラインで新しい体験ができる場の提供を模索する109。今年3月には、メタバース・NFT事業への本格参入を表明し、メタバース上で「若者がワクワク・ドキドキできる遊び場」の創造を目指す。長田さんは今後をこう空想します。

「いつか遠くない未来に、たとえば109を訪れた方が、ARの映像が見られるメガネと、遠隔地でも力触覚を伝えられる手袋を身に着ければ、『推し』と109の中で手をつないでバーチャルショッピングデートができるかもしれません。リアルの109とデジタルの109のよいところをかけ合わせれば、これまでにない楽しみ方、体験が広がっていくでしょう」

 大災害や環境危機、世界的な社会不安などの中で成長してきたZ世代。「SDGsなどの社会課題にとても関心が高く、『これっていいんだっけ?』と本質を問う力がある。さらにそれを言語化することがとても上手です」と長田さん。友達にはLGBTQの子がいるのが普通、だから上の世代の大人たちが議論をする意味がそもそもわからない。そう感じている人が多いと言います。

「Z世代が社会の中心となり、この世代の感覚が当たり前になることで、すべての人が生きやすい世の中になっていく。そう期待しています」

「自分の正解」を見つけられる時代に期待

 多様性が重んじられるようになり、選択肢は増えています。かつては「女子はスカート、男子はパンツ」と校則で定められていた制服も、自分が着たい方を選べる学校が増えています。長田さんはこう解説します。

 「Z世代が生きている世の中はどんどん正解がなくなっているし、彼らはそもそも正解があるとも思っていません。なのに、正解がある時代に生きてきた大人たちの選択肢にいまだに制限されている。これからは選択肢から選ばないでいい、もっと言えば選択肢のない社会になり、みんなが自由に『自分の正解』を見つけられる。そういう時代が来るといいなと思っています」

 そんな時代が来て、ジェンダーフリーが当たり前になれば、「JK(女子高生)」も死語に? 長田さんは「2039年、『JK』が社会の教科書に掲載される」と未来を予想します。

 「2039年の高校生達が、『うちらが赤ちゃんのときJKってコスプレじゃなくて実在したってマジ?』と驚く。彼らが切り開いた未来には、ミレニアル世代の私が、竹の子族やバブルを歴史上の出来事として知ったように、そんな会話が当たり前にあるかもしれません」

 大規模開発が続き、大きく変わりつつある渋谷。ビジネスパーソンやインバウンドでやってくる外国人など、集う人も多様化していくでしょう。「年齢や国籍に関わらず、『何かを発信したい』という同じマインドを持った人たちが集まる街になるかも。とはいえ、渋谷はこれからもずっと若者文化を発信する街であってほしい」と長田さん。最後にこう語りました。

 「2039年も、109は若者文化の『聖地』であり続けます」


「社会の正解」はどんどんなくなっている。「自分の正解」を見つけて。
長田麻衣(おさだ・まい)
総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発、ブランディング、PRサポートなどを経て2017年に「SHIBUYA109エンタテイメント」に入社。若者研究機関「SHIBUYA109 lab.」を設立し、所長を務める。毎月200人のaround20(15歳〜24歳の男女)と接し、若者に特化したマーケティングに取り組む。
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