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連載

#19 未来空想新聞

「ジェンダー革命」を目指す井手上漠さんが考える「自分らしさ」とは

格差や差別がない世界、誰もが個性を認め合う世の中にしたい

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目次

2039年。今から17年後の未来は、どんな社会になっているのでしょうか。ジェンダーレスモデルの井手上漠さんは、多様な生き方が認められる「ジェンダーの革命を起こしたい!」と宣言します。自分の気持ちにふたをしていた子ども時代、それを救った母の言葉。井手上さんが考える「自分らしさ」の未来について聞きました。

SDGsの目標達成がかなえるジェンダーレスな世界へ

「未来は格差や差別といった既成概念がない世界になっていてほしい」と語るのは、Z世代のジェンダーレスアイコンとしても活躍するモデルの井手上漠さん。雑誌のコンテストをきっかけに、「可愛すぎる男子高校生」として一躍有名になりました。

井手上さんは、国連による持続可能な開発目標を定めたSDGsに注目しています。2016年からスタートした世界的な長期目標で、環境問題や貧困問題の解決など、2030年に向けた17のゴールが設定されています。すべてに共通するのは「誰一人取り残さない」という理念です。

「2039年といえばSDGsの目標達成から9年後。当然、5つ目のゴールである『ジェンダー平等』が社会に浸透していて、メンズがメイクをしたり、スカートをはいたりすることは、もはや普通のこと。『男性なのに……』と後ろ指を指す人が、マイノリティーと言われていることでしょう」

モデルの仕事以外にも、ジェンダーレスのファッションブランドをプロデュースするなど活動の場を広げている井手上さんは、自身のことを「物心ついた時から、女の子の友達とおままごとやお人形で遊んでいた」と振り返ります。

まわりから「変わっている」と言われても、あまり気にすることはありませんでした。しかし、学年が上がるにつれて男女別のルールが明確になると、いつの間にか浮いた存在に。

「まわりの子たちから『気持ち悪い』と言われて、そのときに初めて周囲との違いを実感しました」

心ない言葉に傷ついた井手上さんは、男の子とも女の子とも言い切れない自分の性に悩むようになり、学校の図書館で「性別」や「LGBTQ」にまつわる本を読んで、自分のことを知ろうと努力しました。しかし答えは出ず、男の子っぽい外見になることで、無神経な言葉から自分を守ろうとしたと言います。

「周囲に合わせた見た目にしたことで、『気持ち悪い』とは言われなくなりました。でも、自分の気持ちにふたをしてしまったから、心から楽しいと思えることがなくなってしまいました」

口数が減り、消極的な性格に変わってしまったある日、突然、母親に呼び出されて恋愛対象を聞かれました。誰も触れてこなかった芯の部分に触れられた戸惑い、自分と向き合おうとしてくれているんだという喜び、自分もきちんと向き合わなければいけないという緊張など、色々な感情が一気に湧き上がりました。

「感情の高ぶりを超えたのかもしれません。涙が出て、息もうまく吸えなくなって、何より体中がしびれたことに驚きました。そして、『男の子と女の子と、どちらが好きなのかわからない』ことや、それまで抱えていた不安や疑問を全部吐き出しました。母は、うなずきながら私の話を聞いて、最後に『漠は漠のままでいいんだよ』と言ってくれました」

「自分を縛り付けていたものから解放されて、それまでふたをしていた好きなことを思いっきり楽しもうと思ったんです。それが美容でした」

好きなことの先に見つけた「自分らしさ」

ネットや雑誌から、メイクやファッションなど様々な美容情報を吸収しているうち、自然と性格も明るくなっていき、やがて美容に興味のある女の子を中心に友達も増えていきました。「美容に没頭することで、少しずつ自分らしさがわかっていった気がします。人が一番輝いて見えるのは、やっぱり好きなことをしている時。自分らしさとは、好きなことをしていると見えてくると思います」

誰もが自分らしく生きられる社会のために

誰もが自分らしく、幸せだと思えるような社会にするためには、制度の改革や環境整備は欠かせません。しかし井手上さんは、それと同じくらいに「人が変わること」も重要だと指摘します。

「様々な立場のある相手を『理解する』ことは簡単ではありません。だからまずは、わからなくてもいいからお互いの好きや嫌いを『認める』ことから始めるのはどうでしょう? 世代ごとに意識や常識の違いがあるのも仕方ありません。その違いをわかった上で、自分の固定観念を押し付けずに、お互いに情報や価値観をシェアしていけば、個性にあふれた面白い未来に必ずつながると思います」

今後もモデルやタレント業の一方で、美容をテーマにジェンダーレスの考え方を広める活動に注力していくそうです。

「目標は、美容で世界中の人を幸せにすること。性別や年齢、人種に関係なく、自分を、自分が好きなもので好きなように飾って、それを堂々と発信できる世の中にすることです。そのためにも、自分らしくいることが大事です。もし、自分らしさがわからない、見つからないなら、色々な場所に行って、価値観の違う人たちと出会って、話をして、たくさんの経験をするといいと思います。そうしているうちに、私にとっての美容のような、本当に好きなことが見つかるはずです」


夢を見つけることよりも、好きなことを見つけてください。それが自分らしさになります。
井手上漠(いでがみ・ばく)
2003年、島根県・隠岐生まれ。2018年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストにて「DDセルフプロデュース賞」を受賞したのをきっかけに翌年からモデル、CM、テレビ番組などで活躍。「性別なし」を自認する。2021年には初のフォトエッセイ「normal?」を発表。2022年にはジェンダーレスファッションブランド「BAAKU(バーク)」をプロデュース。
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