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「どう生きていけばいい?」アラサーのモヤモヤ 雑談で出た〝答え〟

「アンチ・ライフステージ」という考え方とは

ポッドキャスト番組「ゆとりっ娘たちのたわごと」パーソナリティーのほのかさん(右)とかりんさん=本人提供
ポッドキャスト番組「ゆとりっ娘たちのたわごと」パーソナリティーのほのかさん(右)とかりんさん=本人提供

目次

20代半ばから30代にかけて、結婚や転職などさまざまな転機が訪れます。同時に、漠然とした不安や悩み、焦りを抱えがちです。そんなモヤモヤは「クオーターライフクライシス」と呼ばれています。

ポッドキャスト番組「ゆとりっ娘たちのたわごと」でパーソナリティを務める2人も、30歳になる前は人生に漠然とした不安を抱えていました。

会社員をしながらポッドキャストでゆる~く雑談をしてきた2人。「どう生きていったらいいんだろうね」と悩みを語るなかで、ある結論にたどり着きました。

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みんなが「着実に進めている」ように感じて…

「ゆとりっ娘たちのたわごと(通称「ゆとたわ」)」は、累計再生800万回を超える人気ポッドキャスト番組。パーソナリティのほのかさん(33)とかりんさん(32)が、8年前に始めました。

2人が歩んできた時間は、まさに「クオーターライフクライシス(QLC)」の時期と重なります。2021年7月には、QLCをテーマにポッドキャストを配信しました。

当時はコロナ禍。外出や友人との交流が制限されて自分と向き合う時間が増え、2人は「どう生きていったらいいんだろう」と考えていたといいます。

周りの友人たちが結婚して家を買ったり、転職してキャリアを積んだり、「着実に人生を進めている」ように感じたこともモヤモヤの背景にあったそうです。

番組では明確な答えは出なかったものの、「みんなで乗り越えていきましょう」と呼びかけていました。

2人が9月に出版した著書『わたしたち雑談するために生まれてきた、のかもしれない。 ゆとりっ娘たちのたわごとだけじゃない話』(KADOKAWA)は、これまでの番組をまとめた内容で、2024年9月に配信した回「アンチ・ライフステージ」で締めくくられています。

『わたしたち雑談するために生まれてきた、のかもしれない。 ゆとりっ娘たちのたわごとだけじゃない話』(KADOKAWA)
『わたしたち雑談するために生まれてきた、のかもしれない。 ゆとりっ娘たちのたわごとだけじゃない話』(KADOKAWA) 出典:『わたしたち雑談するために生まれてきた、のかもしれない。 ゆとりっ娘たちのたわごとだけじゃない話』(KADOKAWA)

「ライフステージ」という言葉に違和感

「アンチ・ライフステージ」が語られたのは、30代前半になっても依然としてQLCのなかにいた2人に、同世代の女性リスナーから悩みが寄せられたことがきっかけでした。

「今後どういった仕事をしたいのか、どういった人生を歩みたいのかわからなくなってしまい、『人生迷子状態』です(涙)」「おふたりは自分のキャリアについて悩むことはありますか? 明確な人生設計はありますか?」という質問に、かりんさんは「まったく同じ気持ちです。答えが見つかってないのよ」と嘆きます。

ほのかさんは「一緒に悩んでますという回答になって本当に申し訳ない」と話しつつ、ほかのリスナーへ「自分なりの解」を求めました。

その結果、2人のもとにはたくさんのおたよりが届いたそうです。一通一通、熱のこもった「すごくいいお便り」でしたが、「解決策」として寄せられたものは「その人の人生におけるもの」であり、個別性の高い「解」だと気づきました。

改めてキャリアや人生をテーマにした番組を収録した2人。話の中で生まれたのが「アンチ・ライフステージ」でした。

自分の人生と他人の人生を比べることに意味はない。そもそもライフステージという言葉もしっくりこない。階段を上っていくのではなく、今を生きるだけなんだーー。

ライフステージとは、就職・結婚・出産といった人生の節目のイベントや年齢で分ける段階のことです。2人は、「ステージ」という言葉から受ける上下関係や「進めなければいけない」というイメージに違和感を持っていました。

ほのかさんは「アンチ・ライフステージになりたい」、かりんさんは「もう、ステージで考えるのやめよう」と話していました。

ほのかさん
ほのかさん

環境は変わってきたけれど

番組を振り返り、かりんさんは「30歳になる前は『ライフステージ』について悩んだり考えたりしましたが、別に『ライフ』って『ステージ』ではないんじゃないかという結論に行き着きました。アラサーのモヤモヤは全てそこに集約できるような気がします。しゃべりながら整理されていった感じです」。

ほのかさんは「ステージという言葉では、『私はこっち、あなたはそっち』というように分断されてしまうと思いました」と語ります。

番組配信後、ほのかさんもかりんさんも結婚して少しずつ環境が変わってきました。

かりんさん
かりんさん

かりんさんはこの秋に出産を控えています。「ライフステージに対するモヤモヤには一つの解が見えた一方で、最近では、状況に応じて社会的な見られ方や求められるものが大きく変化することも、この世代がぶつかるもう一つの悩みだと感じています」と打ち明けます。

「例えば、今後子どもが生まれたら母親として正しい振る舞いをしなければと苦しくなったり、周りからそのような振る舞いを求められていると感じたりすることがあると思うんです」

「ポッドキャストの収録をこれまで通りやろうとしても、『子どもはどうしているの?』と思う方もいると思いますし、実際問題として以前と全く同じように活動するのは難しい部分もあるはず。このように、状況や立場の変化に応じて、これまでの30年で築きあげてきた自分らしさと、新たに求められるものとのバランスをどう取るかという壁にぶつかっている人も多いのではないでしょうか」

ポッドキャスト番組「ゆとりっ娘たちのたわごと」パーソナリティーのほのかさん(右)とかりんさん
ポッドキャスト番組「ゆとりっ娘たちのたわごと」パーソナリティーのほのかさん(右)とかりんさん

「私たちは、私たちであることに変わりはない」

ポッドキャストの収録で「雑談」を続けてきた2人にとって、「雑談」は人生に欠かせない時間です。環境の変化はあっても、ポッドキャストはずっと続けたいと考えています。

パートナーがいても、子育てをしていても、「私たちは、私たちであることに変わりはない」とほのかさんは断言します。

「アンチ・ライフステージ」は、人生の出来事に左右されず雑談を続けていく宣言でもありました。

ほのかさんは「世代や状況によって悩みは変わっても、やることの根幹は変えたくありません。自分たちの言葉でしゃべることをやめなければ、ほぐれていくものがきっとあるはず。だから、私たちにとって雑談はこれからも生きがいであり続けると思います」と話しています。

<ご意見お寄せください>

朝日新聞withnewsでは、20代後半から30代にかけ、人生に漠然とした不安を抱く「クオーターライフクライシス」について取材をしています。

30代を前に、気づけば友人たちは転職、独立、結婚、出産、移住と様々な変化が訪れている。
自分も人生を楽しんでいると思っていたけど、このままでいいんだろうかーー。

そのような悩みは、世代特有のものでもあるようです。
モヤモヤの背景にあるのは、社会不安? SNS? メディア?
いったい何が影響しているのでしょうか。

みなさんのモヤモヤや思いを聞かせてください。
応募フォーム(https://forms.gle/oW7M7qjGUndvrS3y5)からご連絡ください。

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