連載
#100 夜廻り猫
離婚後の養育費は…「お金をくださいって言うのはつらい」 夜廻り猫
娘が小さな頃、離婚した女性。別れた夫には「養育費を」と求めましたが……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られる漫画家の深谷かほるさんが、SNSで発表してきた「夜廻り猫」。今回は、娘の結婚を前にした女性のエピソードです。
きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵。ひとりアルバムを前にした女性の、心の涙の匂いに気づきます。
「おまいさん泣いておるな?心で どうなさった?」
娘の結婚を前に、アルバムを手づくりしていた女性。娘が小さな頃に離婚し、夫は養育費を振り込んでくれませんでした。
家族経営の元夫の勤め先に行くと、元姑から「おカネもらいに来たの」と冷たく言い放たれます。
「もう結構です」。そう言った女性は昼夜、子どものために働き、習い事や旅行をさせてあげる時間や余裕はありませんでした。
「写真が少ないの」「何て言われても養育費は取り立てるべきだったのかな…」と振り返ります。
「お金をくださいって言うのはつらくてね」「娘に、ごめんね幸せに、って願いながら写真を貼ってた」と語ります。
遠藤は「そうでしたか…」と言ってほほえむのでした。
作者の深谷かほるさんは「お金がない時に、『お金をください』と言うのは身を切るようにつらいですよね」と話します。
ときたま、つらい思いをした側が、「お金はいい、謝罪してください」とか「お金がほしくて言ってるんじゃない、お金はもういい」とか言っていると、「『お金も謝罪も両方受け取ってください!頑張って!』と思ってしまいます」と語ります。
「お金と尊厳は結びついているんです。お金を諦めれば尊厳を守れるとは限らない。傷つけられず、傷つけることもなく、生きていけますように」と願っています。
1/207枚