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〝アドバイス〟のつもりでも…「上から目線」で説明する人たちの本音
その行為、「マンスプレイニング」です
女性に求められているわけではないのに、〝上から目線〟で一方的に説明してしまった――。そんな「マンスプレイニング」をしたことがある男性たちは、どんな思いでいるのでしょうか。
マンスプレイニングとはman(男性)とexplaining(説明)を合わせた造語で、根底には「女性は無知だ」といった偏見や、ジェンダーに基づく差別構造があると言われています。
トランスジェンダーであることを公表している哲学者の三木那由他(なゆた)さんは、朝日新聞の記事で次のように問題提起しています。
「マンスプレイニング」をテーマに朝日新聞がアンケートを募ったところ、マンスプレイニングをされたことがあるという女性や、したことがあるという男性から意見が届きました。みなさんはどう考えますか?
若い頃は「親切にされているのか?」と思って受け入れていましたが、歳を重ねて、自分より浅い知識や愚かな考えを得意げに話す年長男性の相手をするのがばかばかしくなりました。
そのような人たちに対しても礼儀正しくいなければならない、という教育や社会的圧力を受けてきたことが、今となっては大変悔しいです。(北海道・50代女性=自分がされたことがある)
知っていることを「知っている」と言ったり、マンスプレイニングしているその人以上の知識を話したりすると雰囲気が悪くなります。
「さしすせそ」(編集部注:「さすが」「知らなかった」「すごい」「センスいい」「そうなんだ」)を常に求められ、無知なふりをしなければ空気を壊してしまうのは、仕事や学習意欲、向上心を削がれるし、しんどい。
職場の上司だけでなく、同僚や同期の男性、大学の同級生、警備員のおじさん、警察官、居酒屋のおじさんなど、仕事だけでなく日常生活でもマンスプレイニングがあふれています。(東京都・30代女性=自分がされたことがある)
説明やアドバイスのつもりでも、「相手によっては不快になることがある」ということを改めて気をつけようと思います。(神奈川県・50代男性=自分がしたことがある)
私は女性から男性へ性別移行をしたトランスジェンダーです。
社会的に男性になってから、マンスプレイニングだと思われないように発言を萎縮する機会が増えたかもしれません。
同じような厚かましさだとしても、やはりその性別だけで権威ある印象を与えてしまう男性が言う方が威力を持ちます。
されて嫌だった経験もありますが、自分がうっかりしてしまったであろう経験の方が記憶に残っています。(群馬県・20代その他=自分がしたことがある)
個人的には、「マンスプレイニング」は男性特有のものでなく、相手の属性や立場、状況を考えず上から目線でマウンティングしてくる行為ととらえています。
社会ではビジネスやプライベートでも何らかの説明をすることになるので、相手にマンスプレイニングと受け取られないよう気を付ける必要はあると思います。
特に、相手が説明を求めてるわけでもないのにマウンティング目的でやってしまうのはよくない。(東京都・50代男性=自分がしたことがある)
マンスプレイニングという言葉は知りませんでしたが、自分自身でもなんとなくそのような意識はあったと思います。
そういった社会環境(時代)で生まれ育ってきて、特に意識することなく暮らしてきました。
今この時代になってようやく、これは差別だという意味が理解できるようになってきましたが、全てを認識し理解できているわけではないと思います。
社会に蔓延する不合理な差別は改善するべきだと考えますが、脳にしみ込んだ男女差、あるいは自らが考える男女間の相違・区別の延長線上にあるような、差別とは言いませんがそうした認識は払拭されていない自分がいます。(宮崎県・70代男性=自分がしたことがある)
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