連載
#104 #小山コータローの4コマ劇場
「ワンチャン」にかけ、吊り橋で告白を計画 決行前に想定外の効果
やめとけ!
橋の思い出といえば、僕は小学生の頃に「冒険探検クラブ」に所属していたことがあります。
冒険探検クラブの活動は、小学校の裏手が森なので「とりあえず森に入ってみる」がスタートです。
何をするかはそのあと考えます。
みんなで森に入ってから、とりあえず木の棒を拾って振り回したり、枯れ葉を撒き散らしたりします。
時折、見たことないキノコを見つけては「どくきのこだ!逃げろ!」などと叫んだりするのが主な活動です。
そんなマンネリ化した活動が続く中、ある時クラブの誰かが「秘密基地を作ろう!」と大声で言いました。
その大声に対して「秘密の声量じゃないな」と思いましたが、楽しそうだったのでみんなで作ることにしました。
そこで、秘密基地に行くための橋を作ることにしました。橋といっても、別に必要もないほどの溝の上に作るだけです。
「秘密基地に行く感」の演出です。
ワクワクしながらみんなで木やツタを集めて、一生懸命橋を作りました。汗だくになりながら、絶対に壊れないように作りました。
完成です。
見事な橋です。橋どころか、頑丈に作ろうとしすぎて見た目はもう床です。
そしてクラブのリーダー格が「よし、渡ろう!」と渡った瞬間その一歩めで橋は大破し、30センチほど下にストンと落ちました。
それを見て他のみんなは軽めのジャンプで向こう側は渡って行きました。
この時間はなんだったんでしょうか。
ジャンプで簡単に渡れる場所に、時間をかけて橋を作り、しかし大破したところで30センチ下に落ちるだけです。
こんなにノーリスクノーリターンな事がこの世に存在するんだなと思いました。
冒険探検クラブ
今はあるんだろうか。
<こやま・こーたろー>
漫画家。「違和感」を作風とし、漫画家のSNS「コミチ」やTwitterで毎日4コマ漫画を発信中。前後関係を無視したセリフや、突拍子もない理不尽な展開が得意。初の書籍「デリシャス・サンド・ウィッチーズ」(扶桑社)発売中。Twitterアカウントは@MG_kotaro。
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