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#58 夜廻り猫

人間関係ゼロ「コロナつらい」すら言えない…夜廻り猫が描く大学生活

夜廻り猫が描く「大学生活」
夜廻り猫が描く「大学生活」

目次

上京して入学したら人間関係をやり直そう――。そう思っていた大学生。しかしサークルは活動禁止、たまの対面講義でも友人はできず、バイトの居酒屋は休業になって……。「ハガネの女」「カンナさーん!」などで知られ、ツイッターで「夜廻り猫」を発表してきた漫画家の深谷かほるさんが「大学生活」を描きました。

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大学で「やり直そう」と思っていたけど…

きょうも夜の街を回っていた猫の遠藤平蔵。ひとりベンチに座る大学生の心の涙に気づき、声をかけます。
「そこなおまいさん、泣いておるな?心で よかったら話してみないか」

大学生は、中学でいじめられてから友達はできず、「大学で東京に出てやり直そうってずっと思ってたんだけど――去年入学したら、コロナで」と振り返ります。

たまにある対面講義でも知り合いもいない、サークルは活動禁止、バイト先の居酒屋は休業に……。

「しゃべれる相手が一人もいない。自分が透明人間になったみたいだ どこに行っても通り過ぎるだけ」と胸の内を明かします。

それでも、いつかもし、友達ができたら……「『コロナはつらかったな』って笑いたい」とつぶやきます。

遠藤は「うん、うん、できる!」と言って大学生とほほえみ合うのでした。

一人暮らしの人のメンタルが「心配」

作者の深谷さんは「このコロナ禍で心配なことの一つが、一人暮らしの人のメンタルです」と指摘します。

同居家族以外には基本的に会えず、一人暮らしの人はずっと独りです。
出勤や登校ができなくなり、不要不急の外出をやめ、映画館も美術館も閉まっている……。「これだけでも相当な閉塞感ですよね」と話します。

「ここに病気や失職など何か一つでも問題が加わったらどうなるのでしょうか。そういう不安を抱える人がほとんどだと思います」と心配します。

「ワクチン接種が早く済みますように、また、コロナを含め、病気にかかった人が必要なケアを受けて必要なだけ休めますように」

【マンガ「夜廻り猫」】
猫の遠藤平蔵が、心で泣いている人や動物たちの匂いをキャッチし、話を聞くマンガ「夜廻(まわ)り猫」。
泣いているひとたちは、病気を抱えていたり、離婚したばかりだったり、新しい家族にどう溶け込んでいいか分からなかったり、幸せを分けてあげられないと悩んでいたり…。
そんな悩みに、遠藤たちはそっと寄り添います。遠藤とともに夜廻りするのは、片目の子猫「重郎」。ツイッター上では、「遠藤、自分のところにも来てほしい」といった声が寄せられ、人気が広がっています。

     ◇

深谷かほる(ふかや・かおる) 漫画家。1962年、福島生まれ。代表作に「ハガネの女」「エデンの東北」など。2015年10月から、ツイッター(@fukaya91)で漫画「夜廻り猫」を発表し始めた。第21回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞、単行本7巻(講談社)が2020年12月23日に発売された。

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