MENU CLOSE

連載

#19 「きょうも回してる?」

銚子電鉄がまたしても!「経営がガタガタ……ガチャガチャを作ろう」

コンセプトは「金欠鬼VS貧乏神」

犬吠駅の銚電マンシールのガチャガチャ=クリエイターの寺井広樹さん提供
犬吠駅の銚電マンシールのガチャガチャ=クリエイターの寺井広樹さん提供

目次

経営難が続き、ぬれ煎餅の商品発売などで話題を集めている銚子電鉄が、ガチャガチャにも参入していることはご存じですか?コンセプトは「金欠鬼VS貧乏神」…。銚子電鉄の商品を考案しているクリエーターに、ガチャガチャ評論家のおまつさん(@gashaponmani)が取材しました。
【信頼を刷る】プロの職場は厳しく、あたたかい。新聞印刷のチームワークを知る(PR)
ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」

「まずい棒」「電車を止めるな!」奇策続々…

「銚電マンシール」というガチャガチャの商品を知っていますか。

この商品は千葉県銚子市にある銚子電気鉄道(以下、銚子電鉄)が昨年末に発売した商品です。銚子電鉄は数々の経営難を乗り越え、多くのメディアからも取り上げられているローカル鉄道。鉄道部門の収支は赤字が定着しており、赤字を補填するために、ぬれ煎餅や「経営状況がまずい」という自虐ネタから生まれた「まずい棒」がヒット商品となり、経営危機を救う一助になりました。

まずい棒は、クリエイターの寺井広樹さんが考案した商品です。現時点でまずい棒は250万本が売れ、その勢いで銚子電鉄と映画「電車を止めるな!」を制作しました。しかし、この映画は昨年8月に公開されましたが、新型コロナウイルスの影響で興行収入がかなり厳しい状況が続いています。その厳しい環境のなかで、誕生したのが、冒頭お聞きした銚電マンシールです。寺井さんが考案し、デザイナーの重元ふみ氏がデザインしています。

カプセルに入っている「銚電マンシール」
カプセルに入っている「銚電マンシール」

経営ガタガタ…からの「ガチャガチャ」

考案した寺井さんは「まずい棒が売上に貢献したので、映画を作ろうというお話をいただきました。しかし、コロナ禍で映画がこけました。それで経営がガタガタ、ガタガタ・・・。ガチャガチャを作ろう」ときっかけを話します。

そして、寺井さんは商品化に向けて「本当に映画がこけたことは、銚子電鉄のみなさんがガックリし、落ち込みました。だったら、ガックリマンシールをつくりませんか?」と銚子電鉄に提案します。

早速、寺井さんはガックリマンシールの試作を作り、銚子電鉄の社員さんにシールを配ったり貼ったりしたところ、みんな笑顔になったそうです。それを見た銚子電鉄の社長の竹本勝紀さんは、本格的にこのシールを2020年12月に第1弾「銚電マンシール」として販売することを決めたそうです。

第一弾の「銚電マンシール」
第一弾の「銚電マンシール」

社長のシール、絵は同じで名前が5種類

銚電マンシールの特長は、自虐ネタをモチーフにしたことはもちろんのこと、社長の竹本さんや人気車掌の袖山里穂さんをモデルにした「ソデヤマ観音」など実在する人物がシールとなっていることです。

第1弾は8種類なんですが、それとは別に、社長の竹本さんのシールはなんと5枚もあります。通常のガチャガチャのラインナップでは考えられませんが、「ボンビーゼウス」「ボンビーカオス」「ボンビーマン」「ボンビーガイシャー」「ボンビーファイター」と絵は同じで名前が違う竹本さんが5枚もあるんです。ネーミングもここまで自虐ネタだと思わず笑ってしまいます。

発売にこぎつけた寺井さんは「買ったお客様は8種類でコンプリートだと思ったのに、竹本社長が5種類もあるなんて驚くと思います。また、人気車掌の袖山さんのシールを目当てに買いに来る人もいます」と話してくれ、この第1弾は銚子電鉄の3駅のみで販売しましたが、完売続出。

毎週補充するくらい人気が出てしまい、「第1弾をアッというまにコンプリートするお客様が多く、『第2弾はないんですか』という問い合わせがありました。シールをきっかけに銚子電鉄の物語に興味を頂いてくれています」と嬉しそうに寺井さんは話します。

竹本社長のカードは5枚。絵は同じでも、良く見るとすべて名前が異なる
竹本社長のカードは5枚。絵は同じでも、良く見るとすべて名前が異なる

「どっちが勝ってもビンボー」な対決

そこで、今回紹介するのは、3月に発売した第2弾「銚電マンシール」です。

第2弾は社長の竹本さんをモデルにしたシールの名前を募集します。厳正なる審査の結果、「スーパー銭薄(ぜにうす)」に決定。コンセプトは「金欠鬼VS貧乏神」で「どっちが勝ってもビンボーです」と笑って話す寺井さん。あくまでも自虐ネタを追い求める姿勢はすごいの一言につきます。

また人気車掌の袖山里穂さんをモデルにした「ソデヤマ観音」もバージョンアップし、「まずい棒」のデザインを手掛けた漫画家の日野日出志氏をモデルにした「シャーダンカーン」、柏木亮常務をモデルにした「カシワギP」など個性豊かなキャラクターが増えています。

銚電マンシールを作るときに、寺井さんにはある想いがありました。

「もちろん銚子電鉄の売上を回復したいという想いもありますが、銚子電鉄社員で働く人たちはすごく個性的で銚子電鉄の愛に溢れる人ばかりです。袖山さんは定年退職するまでやりたいと言っています。銚子電鉄に命をかけている人がいることを紹介したかった」と話してくれ、寺井さんなりの銚子電鉄愛を感じました。

ソデヤマ観音
ソデヤマ観音

ガックリしたときにGETして

すでに寺井さんの頭のなかには、第3弾の構想もあるそうで、「本当に銚子電鉄さんは依然として厳しい状態が続いていますが、なんとか乗り切ろうと頑張っています。ガチャガチャだけでは立て直すのは難しいですが、そのきっかけになれれば」と抱負を語ります。

このシールの裏には、「ガックリした時このシールをGETすれば悲壮感がなくなり自然とチカラが沸いてくるかも」とメッセージが書いてあり、私も銚子電鉄を応援したくなりました。

     ◇
第二弾は12種類。1回200円。犬吠駅、仲ノ町駅、笠上黒生駅、外川駅、ぬれ煎餅駅の5駅にガチャガチャの機械が設置してあります。

シールの裏面
シールの裏面
ガチャガチャ評論家おまつの「きょうも回してる?」
この連載は、20年以上業界を取材しトレンドをチェックしているおまつさんが注目するガチャガチャを毎週金曜日(原則)に紹介していきます。

     ◇
ガチャガチャ評論家・おまつ(@gashaponmani
ガチャガチャ業界や商品などをSNSで発信中。著書に「ガチャポンのアイディアノートーなんでこれつくったの?ー」(オークラ出版)。テレビやラジオなどのメディアへの出演や素材提供も多数ある。
CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます