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駅に現れた「変態」的な広告 自粛の中、京都水族館がくれた安らぎ

「しびれる」「宇宙レベルで素晴らしい」絶賛する声

話題となっている「変態予告」の広告
話題となっている「変態予告」の広告 出典: 京都水族館提供

目次

駅の柱に大きく貼られた、意味深な「変態予告」の文字。よく見ると、その文字を形づくっているのは、驚くほど緻密に描かれた生き物たちでした。京都水族館(京都府京都市)が大阪・梅田駅などに掲出している広告が、「最高すぎる」と話題になっています。「近づくともっと好きになる」という同館のコンセプトにぴったりな広告が、どのように生まれたのか、京都水族館と担当したデザイナーに聞きました。
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「変態予告」しびれるようなカッコ良さ

ツイッターで話題となっている京都水族館の広告。「変態予告」のそれぞれの文字をよく見ると、オオサンショウウオやチンアナゴなど、大小さまざまな生き物たちのイラストで構成されていることがわかります。

見入ってしまうほどの繊細なデザインに、ツイッターでは「しびれる」「宇宙レベルで素晴らしい」など、絶賛する声が集まっています。
出典: 京都水族館提供
そんな魅力的な広告が伝えているのは、京都水族館のリニューアルオープンです。同館は4月下旬に新しい展示エリア「クラゲワンダー」の公開を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、2月29日から臨時休館しています。これに伴い、新展示の公開も延期することとなりました。

現在も休館が続いていますが、広報担当者は今回の広告について「状況が収束することへの期待を込めて、掲出させていただきました」と説明します。

営業自粛が広がり、経済活動が停滞している時期だからこそ、ツイッターでは「広告があるだけでホッとする」という声も寄せられています。人々に安らぎをも与えたこの広告は、どのように生まれたのでしょうか。

「新しい形態へ変化していく姿勢」表す

ひときわ目を引く「変態」という二文字。「変態」とは、おたまじゃくしがカエルになるように、動物が幼生から成体になる過程で姿かたちを変えることを表す言葉です。また、形や状態を変えるという意味も含まれ、リニューアルする同館の変化を印象づけています。

「京都水族館がこれまで大事にしてきた『水族館のある暮らしを提供する』という、本質的な想いは変わっておりません。一方で、開業から約8年間経過して、変化する時代や環境の中で、京都水族館がこれから新しい形態へ変化していく姿勢を『変態』という言葉で表現しました」(広報担当者)
出典: 京都水族館提供
デザインについては「『近づくともっと好きになる』という京都水族館のコンセプトに基づき、いきものを身近に感じていただけるようなデザインであることを目指した」という担当者。「いきものが主体となるデザインが、見てくださる方に京都水族館の魅力が伝わりやすい」と採用されたのは、デザイナー・石井正信さんのイラストでした。
出典: 京都水族館提供

「変態予告」強いコピーに負けないように

「『変態予告』というコピーがとても強いので、その言葉に負けない絵にしたいと思いました」(石井さん)

イラストに描かれているのは、バックヤードも含め、同館で展示・飼育されている生き物たちです。石井さんによると、作品には「京都水族館の特色を色濃くする『オオサンショウウオ』や『イルカ』をはじめ、フォルムや動きの特徴を活かし文字を構成できるいきもの」をセレクトしたといいます。

「水族館を訪れるお客さんと『同じ目線』をインプットし、その目線でいきものの姿を描くことを大切にした」という石井さん。実際に水族館に足を運び、1日かけて生き物を観察・撮影したそうです。
出典: 京都水族館提供
また、デザインを完成させる上で飼育スタッフにも監修についてもらい、「正確さとイラストとしての面白さのバランスを配慮した」といいます。

「細部まで綿密に描いているが図鑑的な正確さを目指すより、いきもののフォルムの面白さや奇妙さを出すことにこだわり、ある意味で『変態』的なイラストレーションを目指しました」

その中でも特に悩み抜いたというのが、コピーの形に合わせた生き物の配置。石井さんは「特に『態』はうまくいった感触がある」とコメントしています。改めて「態」のイラストをじっくり眺めると、ペンギンやクラゲなどが絶妙なバランスで文字が表現されているのが伝わってきます。
現在休館中の同館ですが、ツイッターではこの広告を見て「京都水族館に行きたい」という投稿も多く見られます。生き物の魅力を伝える広告が、休館中の水族館と人々とつなぐ役割を果たしているように感じられました。
出典: 京都水族館提供
   ◇

京都水族館の「変態予告」 の広告は、5月24日までの掲出を予定しています。地下鉄梅田駅のほか、JR京都駅、京都市営地下鉄四条駅など、5箇所で掲出されているそうです。

また、「休館中もいきものは元気に過ごしています」という担当者。同館ではゴールデンウィークには無観客イルカショーを開催し、SNSでも積極的に生き物の様子を発信しています。(京都水族館のTwitter:@Kyoto_Aquarium

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