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「地味ハロウィン」に参加したら、毎日を楽しむヒントが詰まってた
今年も大荒れだった渋谷ハロウィーン。
派手なイメージとは対照的な「地味ハロウィン」が、同じ渋谷で開催されていました。ゾンビも有名なアニメのキャラクターもバニーガールもいません。地味という言葉になめた気持ちで参加しましたが、奥が深い世界でした。
「地味ハロウィン2018」があったのは10月27日の土曜日。
渋谷駅前のスクランブル交差点では、警察官がいて物々しい雰囲気です。その先のセンター街とは別の方向へ歩き、会場となるビル前に着くと、明らかにスクランブル交差点とは違った「地味」な人たちが集まっていました。
会場に着くと、ネームカードに何の仮装なのか説明文を書きます。この仮装タイトルが地味ハロウィンの鍵なのです。
午後5時のスタート間もない時間にもかかわらず、会場はたくさんの人で身動きがとれないほど。まもなく2014年に始まって以来、初めての入場規制がかかりました。
主催の読みものサイト「デイリーポータルZ」を運営するケーブルテレビ会社「イッツ・コミュニケーションズ」によると、参加者は874人。昨年の330人を大幅に超えました。
そもそも仲間うちでスナックで始まったイベントで、サイトを通じて広がりこれほど大規模になるとは想像もしていなかったといいます。
地味、だからこそ必要なのが発想力。自身の経験を元に細部にまでこだわりを見せるものや、何の仮装かぱっと見はわからないけれどタイトルで「ああそうきたか」とうなるものなど、アプローチの仕方は様々でした。
「高校3年間のクリスマス」と題して、サンタクロースの格好をし、クリスマスケーキ販売の看板を持った男性は過去の自分の仮装です。ケーキの値段を修正して安くするなど、忠実に再現していました。
「高校3年間のクリスマス」という、過去の自分のコスプレをしました。#地味ハロウィン pic.twitter.com/nivnqVmRE1
— 少年B (@raira21) 2018年10月27日
そして「ああそうきたか」系は、タイトルを発表した瞬間に会場が大盛り上がりします。
登山の格好をした男性は、仮装の説明で「富士登山なめてる人」と紹介した途端、大爆笑が起きました。
ほかにも「羽田ついたら寒かった人」や「駅でゴミ箱を見つけられなかった人」「手ぶらなのに柿をもらっちゃった人」など、日常のあるある風景を切り取った仮装もありました。
私は遊園地でのアルバイト経験を生かし「着ぐるみの中の人」の仮装に挑みました。着ぐるみを下半身だけ身につけた「休憩中」。「着ぐるみの中の人(休憩中)」と2人の着ぐるみ仲間に出会うことができました。
誘ってくれた同僚は「文句言いつつも駅まで車で送ってくれる地元の姉」「地元のハードオフで働く、夢を諦めたドラマー」の仮装です。
やってみると、地味だけど奥が深い。全身を覆うなどして別人になりきれる渋谷ハロウィーンと違い、地味ハロウィンは自分自身と向き合わなければなりません。
自分は人からどう見られ、どんな仮装なら違和感なく受け入れられるか。こんなに考えたのは就職活動以来。やはり自分を客観視できている人は就活も仮装も強いです。
参加してからは、日常のあるある風景を探すようになりました。道を歩いていても、食事していてもネタを探していると、何だか楽しくなってきます。毎日を楽しむヒントが地味ハロウィンには詰まっていました。
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