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ファイルにポーチ、みんな「平成」柄! 掲げればあなたも官房長官?
天皇陛下の退位を来年4月30日に控え、「平成最後」と銘打った商品が、あちこちで売れている今日このごろ。その「最終兵器」とも言うべき文具セットが人気を呼んでいます。デザインは、ずばり「平成」の2文字のみ。あまりの潔さに、ツイッター上でも「ネタなのかガチなのか」と話題になっています。開発の経緯を聞くべく、販売元の出版社を取材しました。(withnews編集部・神戸郁人)
製品は、宝島社(東京都千代田区)の「さよなら『平成』ステーショナリーBOOK」。
A5サイズのクリアファイル、布製ポーチ、A6サイズのノート、ふせんの4点入りで、1280円(税別)です。いずれも白地に、筆書きした「平成」の文字があしらわれています。
パッケージには、「『平成』の思い出にひたれる」との売り文句が。付録として、平成の30年間に起きた事件や災害、社会現象が一覧できるミニ年表もついています。
平成世代にとって、「あるある」ならぬ「あったあった」が思い出せる仕様です。
同社によると、元になったのは、国立公文書館(同区)に保存されている資料です。
1989(平成元)年1月7日、新元号の発表記者会見で、故・小渕恵三官房長官(当時)が掲げた額に入っていた書面の文字を、そのままプリントしています。
先月に発売されて以降、全国の書店員たちの間で人気が広がりました。ツイッター上では、「平成を締めくくる衝撃アイテム」「任意の場所で小渕さんになれる」と話題に。
中には「ネタかマジか分からない」と、開発の意図を探る声も寄せられています。
製品を考案した背景について、編集担当の女性社員(33)に聞きました。
――「平成最後」系商品としては、シンプルながらも相当なインパクトがありますね
ありがとうございます。その言葉を聞きたくて考えたので、とてもうれしいです(笑)。
――あえて「平成」を採用したのはなぜですか
平成と聞いて、額を掲げた小渕さんを思い浮かべる方は多いと思います。わずか一場面なのに、すごく印象に残る。文字だけならデザインもしやすく、今の時期に扱う商品として最適と感じました。
――文具とした理由は
「一時代を気軽に振り返るきっかけをつくりたい」という思いからです。ファイルやポーチなら、毎日カバンに入れて持ち運べますし、会話のネタになると考えました。
文字が生きるよう、小物を額と同じく長方形にするといった工夫もしています。
――平成30年も、あと少しで終わります。この季節に売り出した意図を教えて下さい
秋風が吹き、肌寒くなると、少しずつ一年を総括する雰囲気が出てきます。そこに照準を合わせれば、「平成」にも思いをはせてもらいやすいと判断したんです。
忘年会や新年会で、プレゼントとして活用して欲しい、との狙いもあります。
――発売から約1カ月、反応はいかがでしょうか
お陰様で、全国の書店で扱って頂いています。中には、小渕さんのコスプレ姿で宣伝する店員さんまでいらっしゃいますよ(笑)。
SNS上でも、おおむね好評なようです。社内では当初「文字だけなのに大丈夫?」と心配されましたが、ホッとしています。
――ご自身にとって、平成とはどんな時代だったのでしょう
大事件や大災害が多発した30年間ではあります。一方で、人気ゲームの登場やアイドルグループの活躍など、楽しい出来事にもあふれていました。33歳の私にとっては、人生の全てですね。
――最後に、製品を購入した方々にメッセージを
「平成って、振り返れば良い時代だったね」。ステーショナリーの文字を見て、後々そう思って頂けたらすてきだと思います。さりげなく、でも楽しく未来を見据えるきっかけになれば、とてもうれしいですね。
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