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「挑戦」を逆さにすると「勝利」に! 変化するポスターの作者に聞く
佐賀県唐津市の「ボートレースからつ」が企画したポスターが、ネット上で注目を集めています。
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佐賀県唐津市の「ボートレースからつ」が企画したポスターが、ネット上で注目を集めています。
【ネットの話題、ファクトチェック】
佐賀県唐津市にある「ボートレースからつ」のポスターが、ネット上で注目を集めています。競い合うボートの写真と、大きく書かれた「挑戦」の文字。このポスターをひっくり返して見ると、「挑戦」の文字が「勝利」と読めるのです。制作の経緯を取材しました。
12月中旬、「これはもっと知られていいと思う、かっこいいです」という文言とともにツイッター投稿された2枚の画像。
1枚目は「挑戦」と大きく書かれたポスター。2枚目はこのポスターを逆さにしたもので、「挑戦」の文字が「勝利」と読めます。
この投稿に対して、「素晴らしい」「ほんとにひっくり返しただけだ!」といったコメントが寄せられ、リツイートは1万2千、いいねは1万7千を超えています。
このポスターは、唐津市のボートレース企業局が企画したもので、福岡市の広告会社「西広」が手がけました。
この文字の部分を担当したのが、アンビグラム作家として活動している野村一晟(いっせい)さん(27)です。
アンビグラムとは、異なる方向からも読み取れるようにしたグラフィカルな文字のこと。野村さんはこれまでにも、「努力」をひっくり返すと「才能」になったり、「独創」をひっくり返すと「模倣」になったり、といった作品を発表してきました。
西広の担当者は、野村さんに制作を依頼した理由について、こう話します。
「レースを告知するのはもちろんですが、普段ボートレースに関心のない人に対して、興味を持ってもらうきっかけになってほしいと考えていました。そんな時、以前テレビで紹介されていた野村さんのアンビグラムをふと思い出し、誰もが驚き、記憶に強く残るアンビグラムをポスターに活かしたいと思ったんです」
「アンビグラムをもっと多くの人に知ってもらえるチャンス」と野村さんは快諾。西広側からは「栄光」や「名誉」といったイメージの文字で作って欲しいと依頼されたそうです。
「何十通りも組み合わせを考えて、『挑戦&勝利』『戦士&頂点』の2つを提案しました。私の一押しは『挑戦&勝利』でした」と野村さん。
制作の苦労については、こう話します。
「漢字はひらがなよりも画数が多いため、より難しくなります。また、アンビグラムを作るにあたって重要なのは『画数がある程度同じ』という点です。心を高ぶらせる単語で、それぞれ関連性があり、画数も近い。そんな組み合わせを探すのが最も大変でした」
完成したポスターは好評で、第2弾として「最強&戦場」のパターンも制作され、全国のボートレース場などに掲出されています。
話題になったことについて、野村さんは「アンビグラムが広告としても効果があると実証できました。これまで知っている人の間でしか話題にならなかったものが、街中に貼られて気づいてもらえるのがうれしいですね」と話します。
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