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脱毛する男たち 美しさ求め通院 意外な「お尻」需要、その理由は?
脱毛のニーズは若い女性にあるというのは、今は昔。現在は、中高年や男性の脱毛の件数が増えています。「美しさ」を求めて美容クリニックに通う格闘家。海外赴任をきっかけに「お尻」を気にする人。女性の中には、介護を見据えて「決断」する例も。一方、専門クリニックの医師は「脱毛できる時間には限りがあることを覚えておいて」と呼びかけます。知っていそうで知らなかった脱毛の最新事情に迫ります。(ライター・小野ヒデコ)
「K-1 WORLD GP」フェザー級王者・武尊選手(26)は昨年から脱毛に通い始めました。格闘家は肌の露出が多く、ムダ毛がない方が筋肉はきれいに見えると武尊選手は言います。
「脱毛をしようと思ったきっかけは、SNSで『武尊は童顔なのに、すね毛が濃いことに違和感がある』という内容の投稿を見たことでした。それに、格闘家として強いだけではなく、美しさがあってこそスターだと思うので。今は全身脱毛をしています」
試合と練習の合間をぬい、2週間に1回クリニックに通っているそうです。
「脱毛は痛いと聞いていましたが、予想通り痛かった。格闘以外の痛みには弱いです。注射とか全然ダメ(笑)」
武尊選手が美容好きと知っている人も多く、脱毛をしていることへの周囲の反応は「さすが」。同じジムの仲間も影響を受けて、脱毛を始めた人もいるそうです。
ツルツルになるまでは約3年かかると言われる中、わき毛は生えている気がしますが……。
「わき毛をそったらフェロモンがなくなるということを聞いたことがあるので、残しています!」
武尊選手が通う男性専門総合美容のゴリラクリニック総院長・稲見文彦さんは、「わき毛とフェロモンの相関性はないですね(笑)」と回答。
「ここ2、3年で男性の脱毛需要は増えてきていると感じます。県外など遠方から施術に来られる患者さんもいて、現在は予約が取りづらい状態も続いています」
同クリニックでは過去6年間で男性患者数は8.3倍に増加しています。一番人気の部位は「ヒゲ」。中には、朝と昼に2回そるという剛毛な人も。その場合、肌が荒れてしまったり、切り傷が出来てしまったりすることもあるそう。
「女性は化粧でカバーできる面もある中、男性はそうはいきません。来院目的の多くは、仕事上のコンプレックス解消です。20代~40代の『ごく一般の方』が主に来られています」と稲見さん。
また、海外赴任をきっかけに、おしり周りなどのアンダーヘアを処理する人もいるそう。ウォッシュレットがない環境での衛生面を重視しているのが理由とのこと。
「欧米のスポーツ選手においては、全身脱毛が当たり前という考え方があります。今後、日本においても男性の脱毛が主流になるような“逆転現象”が起こるかもしれませんね」
女性の場合は40代以上の来院者数が増えてきています。リゼクリニック新宿院の20代女性スタッフは、「来院する40~50代の女性うち、6割くらいの方が介護の話をされます。話して下さった方でそれくらいなので、実際に介護脱毛が目的の方の数はもっと多いかもしれません」
介護脱毛とは、将来自分の介護を見据えて家族や介護士に迷惑がかからないようにアンダーヘアなどのムダ毛処理を済ませておくこと。家族の介護や友人の介護話を聞く中で、“下の世話”が大変と知った人が自身の介護される時のことを見据えて脱毛を考え始めています。
「8月は介護脱毛の相談に来られた方が週3~4人にいました。既婚者の方もいますが、独身女性の方が多いです」と話すのは同クリニック新宿院院長の大地まさ代さん。この2年間で40代女性の相談件数が多くなってきていると話します
レーザー脱毛の場合は、黒いメラニン色素に反応するため、白髪の部分は脱毛ができなくなります。脱毛可能な時間には限りがあることは覚えておいてほしいと大地さん。
「局部を見せることに恥じらいがあって『ごめんなさいね』とか『こんな年でもいいかしら』と言われる方が多いです。でも私たちは医療従事者なので慣れているので気にならないという旨を伝えると安心されますね」
脱毛機器が進化し、痛みや価格に加え、心のハードルも下がりつつある。
「施術者の知識や技術を磨きかけていきたい。当院だけではなく、業界全体で患者様により安心で安全な脱毛を提供していきたいです」と大地さん。
厚生労働省によると、2025年には65歳以上人口がおよそ3600万人超になるという超高齢化社会を迎えます。介護の需要も高まる中、介護脱毛への関心も高まってきそうです。
ちなみに気になるお値段はこんな感じです(9月14日現在)。
・リゼクリニック VIO(アンダーヘア)5回コース 98800円(税込)
・ゴリラクリニック ひげ全部位 5回セット 120000円(税抜)
・ゴリラクリニック 全身脱毛 5回セット 570000円(税抜)
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