お金と仕事
MRJ、17年春にも初号機納入 国産旅客機は半世紀ぶり 初公開
国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の飛行試験用の機体が初公開されました。MRJは2017年春にも初号機の納入を計画。国産旅客機の製造は、プロペラ機の「YS11」以来、約半世紀ぶりです。
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国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」の飛行試験用の機体が初公開されました。MRJは2017年春にも初号機の納入を計画。国産旅客機の製造は、プロペラ機の「YS11」以来、約半世紀ぶりです。
国産初の小型ジェット旅客機「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」の飛行試験用の機体がほぼ完成し、開発・販売を担う三菱航空機が18日、愛知県豊山町で報道関係者らに初公開した。MRJは来年4~6月に試験飛行を始め、2017年4~6月の初号機納入をめざす。国産旅客機の製造は、プロペラ機の「YS11」以来、約半世紀ぶりとなる。
客席数は70~90。低燃費エンジンの採用などにより、従来の同型機より燃費が2割以上安いのが特徴だ。離着陸時の騒音も競合機より最大4割減らした。通路や座席、荷物棚を広めに取り、座席の上には大型機同様に車輪付きの旅行ケースを収納できる。月に10機を生産し、飛行試験は名古屋空港と北九州空港で行う計画だ。
MRJの開発は2008年に始まった。国も支援に500億円を投じた「日の丸プロジェクト」だ。三菱航空機には、三菱重工業や三菱商事、トヨタ自動車などが出資している。
当初、納入開始は13年の計画だったが、何度も延び延びになっていた。だが、今年7月にイースタン航空(米国)とエア・マンダレー(ミャンマー)から1年半ぶりに計26機を受注。8月には日本航空の32機が加わり、200機以上の注文が確定した。キャンセルが可能な「購入権」を含めると、受注機数は407機になった。
英国のコンサルタント会社アセンドは、70人~100人乗りの小型ジェットは、2033年までに約4千機の新規需要があると予測する。これまでは、カナダの「ボンバルディア」とブラジルの「エンブラエル」の2社が市場を分けていた。MRJはここに参入し、将来的にシェア50%をめざすという。
日本の航空産業は、米ボーイングなどの「下請け」として実績を伸ばしてきた。100万点にものぼる部品を使う機体製造は、軌道に乗れば中小企業などにも仕事のチャンスが生まれる。
MRJを使って地方路線の活性化をめざす協議会も動き始めている。海外観光客を地方に呼び込むため、アジアや国内の地域間を結ぶ近距離路線の運航を請け負う新会社の設立などを検討している。全日空や日航が実際に導入して運航コストが下がれば、通年で運航できる地方路線も増えそうだ。