コミケ参加翌月に逝った兄「意地が勝ったね」闘病支えた妹が語る敬意

「薄い本が墓標」存在の証、創作で刻む

神戸 郁人

今は亡き男性が制作した、同人誌の数々。世を去る直前まで創作活動に没頭したのは、なぜだったのか。家族の言葉からひもときます。

「今までの全てに、ありがとう」。2022年1月、ツイッター上でそうつぶやいて間もなく、息を引き取った男性がいます。直前に開かれた、同人誌即売会・コミックマーケット(コミケ)。男性は重い病を患いながら、死力を尽くして参加し、自ら描いたイラスト集を会場で頒布していたのです。命を燃やすようにペンを走らせながら、何を思っていたのか。人生の終幕が迫る中、どうして表現活動に取り組んだのか。亡き兄の創作と闘病を間近で支え続けた、きょうだいの記憶をたどりつつ考えました。(withnews編集部・神戸郁人)

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