『ぼけますから』映画公開から1年間に起きたこと、娘に迫られた決断

岩崎 賢一
朝日新聞VMエディター

脳梗塞の後遺症で入院する妻を見舞う夫の信友良則さん=広島県呉市

家族が認知症になった姿をドキュメンタリー映画にした『ぼけますから、よろしくお願いします。』の封切りから1年が経とうとしています。監督の信友直子さん(57)は、その後もカメラを回し続けていました。脳梗塞(こうそく)で倒れた認知症の90歳の母。「身内」での介護にこだわってきた98歳の父。「母をもう、努力しないと愛することができません」と責めた娘の直子さんは、今、「穏やかで諦めのつく死」を意識するようになったと言います。今も毎週、各地で公演や上映会に呼ばれるほど反響がある映画の背景にあるものは何か。映画が浮かび上がらせた現代日本が直面する「老い」を考えます。

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