「人生に迷ったら旅館に」底抜けに明るい女将が失い、見つけたもの

震災で生き残った夫や娘ら3人を海難事故で失った。それでも明るい宮城県気仙沼市の旅館の女将が送る、生きづらさを抱える人へのメッセージ。

東野真和

気仙沼市の唐桑町鮪立(しびたち)で、民宿「唐桑御殿つなかん」をきりもりしている菅野一代(かんの・いちよ)さん。大漁旗を振って客を見送る=東野真和撮影

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宮城県気仙沼市にある唐桑町鮪立(しびたち)。この小さな港町に、民宿「唐桑御殿つなかん」があります。震災後、屋根だけ残った自宅で、菅野一代(かんの・いちよ)さん(56)は、復興支援の若いボランティアたちを無償で寝泊まりさせていました。笑顔が魅力の菅野さんですが、「人と会うのは絶対無理。光さえ見るのも嫌だった」という時期がありました。震災で生き残った夫や娘ら3人を、海難事故で失ったのです。絶望の中、菅野さんは、民宿のお客さんに支えられ元気を取り戻しました。今、生きづらさを抱える若者に菅野さんは、こう言います。「自分を心配してくれている人がいることに気づいてほしい。まあ、迷ったら私の旅館に来てください。大丈夫だ、って背中をたたいてあげるから」。

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