「平成炎上史」よみがえるイラク人質事件 いけにえ求めた自己責任論

真鍋厚
評論家・著述家

イラク人質事件で解放され、バスに向かう(手前右から)高遠修一さん、菜穂子さん、今井紀明さん。今井さんの左奥は郡山総一郎さん=2004年4月18日、羽田空港で

平成という時代を振り返るとき、「炎上」という言葉とともに頻発するキーワードがある。その一つ「自己責任」が顕在化するのは2004年の「イラク日本人人質事件」だった。自殺者が最多の3万4427人に達した翌年、「失われた10年」の直後。「自己責任」という「生贄(いけにえ)」を求めたのは、他でもない不安定な立場に追いやられた若者たちでもあった。(評論家、著述家・真鍋厚)

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