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「容疑を晴らしたい」 30歳男性が振り返る〝ニセ警察詐欺〟の手口

「オレオレ詐欺」といった特殊詐欺の被害に遭ってしまった人は、お年寄りが多いイメージがありませんか?実は、20~30代にも被害が拡大しているといいます。警察庁が認知している「ニセ警察詐欺」の件数はことし7月まででおよそ6千件。とくに30代、20代が被害に遭っているといいます。愛知県の男性は、「同じ被害に遭ってほしくない」と経験を語ってくれました。(朝日新聞記者・野口駿)
お年寄りが家の電話でだまされてお金を取られる――。
「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺に、そんなイメージを抱いていました。
しかし、近年、記者(26)と同世代の若い人たちに被害が拡大しているといいます。
愛知県内に住む男性(30)は5月、被害に遭い全財産の240万円を失ってしまいました。
発端は「埼玉県警のササキ」を名乗る男からの電話でした。
5月下旬、くつろいでいると突然、男性の携帯が鳴りました。ササキは、男性のキャッシュカードが詐欺事件に使われていたと説明しました。
「埼玉で20日間勾留されるか、オンラインで取り調べを受けるか」と迫ってきました。
容疑を晴らしたい――。
そう考えた男性は、ビデオ通話での「取り調べ」に応じたといいます。
ササキからは「警察手帳」のようなものを示され、他に「検察官」も登場しました。
「口座にある紙幣の番号を見れば、詐欺グループから流入したものかわかる」
そう言われ、現金を指定口座に振り込みましたが、返ってくることはありませんでした。
警察庁の統計によると、「ニセ警察詐欺」の認知件数は今年1~7月で5757件で、うち30代が最多の1185件、20代が1027件と続きます。
この二つの年代で認知件数の4割近くを占めています。
詐欺電話の発信拠点が海外というケースも目立っています。
警察は東南アジアなど海外拠点の摘発を進めていますが、新しい手口も次々に登場して、いたちごっこの様相となっています。
「同じような被害者を出したくない」
男性はそんな思いから被害を語ってくれました。
多くの人が詐欺への「心構え」をもち、被害が少しでも減ってほしいと願っています。