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住宅のソーラーパネル、事故急増 台風シーズンで注意するポイントは

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太陽光発電のソーラーパネルを設置する住宅が増えていますが、不具合による事故が急増しています。暴風でソーラーパネルが飛ばされたり、設備の不具合で火災が発生したりしているとして、独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE)が注意を呼びかけています。
「9月は台風シーズン真っ盛り。ソーラーパネルが飛ばされたり、不具合放置で火災になることも」
「設備に不具合がないかこまめにチェックしましょう!」
X(旧Twitter)でそんな注意喚起をしたのは、製品評価技術基盤機構のNITEです。
国は再生可能エネルギーの「主力電源化」を掲げ、脱炭素社会の実現に向けて、ソーラーパネルの設置を推進しています。
2023年公表の環境省の統計調査によると、2021年度に太陽光発電を使用している世帯は全国で6.3%でした。戸建てに限ると11.6%。若い世代ほど使用率が高い傾向にあり、世帯主が30~39歳の戸建てでは22.9%が太陽光発電を使っています。
国は2021年の検討会で「2030年までに新築戸建て住宅の6割で太陽光発電設備を導入」との目標を立てました。今年4月には東京都と川崎市で、新築の建物にソーラーパネルの設置を義務づける制度が始まりました。
こうした背景のなかで、住宅用の太陽光発電の事故も増えているそうです。
2015年度から2024年度までの10年間にNITEが把握しているだけで260件発生しています。2024年は過去10年で最多の57件がありました。そのうち約9割の239件が火災でした。
住宅用の太陽光発電設備は、ソーラーパネルのほか、発電した電気を変換する「パワーコンディショナー」、パネルの配線を1系統に集約する「接続箱」、各部をつなぐ配線などで構成されています。
事故がどこで起きたかを分析すると、パワーコンディショナーが170件で事故全体の約7割を占めます。ソーラーパネルも41件で2割弱あるといいます。
NITEによると、台風の暴風でパネルが飛ばされたり、台風の後に不具合を放置したりすることで、火災事故につながるといいます。
設備の多くは屋外に設置されるため、強い風や豪雨の影響を受けやすく、破損や水没による事故のリスクが高まります。
2020年8月に兵庫県で起こった火災では、何らかの飛来物によってソーラーパネルが破損したことが原因とみられています。
破損に備えた安全装置も故障していたため、損傷した場所に電気が流れてしまい、発火に至ったと推定されています。
また、 2017年10月に広島県で起こった火災では、発電設備の屋内用パワーコンディショナーから発煙し、出火しました。台風で住宅が雨漏りし、雨水が本体内に入り込んで電気回路基板で異常発熱が起こったそうです。
これは、基板に付着したほこりや水分によりトラック(電気の通り道)が作られて異常発熱する「トラッキング現象」とよばれる現象です。トラッキング現象による火災は他にも起きているといいます。
住宅が建っている地形によっても被害の傾向は違うそうです。平地の風通しの良い地形ではパネル飛散などの強風被害、河川付近では河川氾濫によるパワーコンディショナーの水没などの大雨被害が多いとのこと。NITEの立入検査では、パネルの固定金具が緩んでいて、台風で事故が起きてしまうリスクのある事例が報告されています。
事故を防ぐため、NITEはこのようなチェックポイントを挙げています。
・発電モニターの電力量をこまめにチェックすること
不具合があれば発電量に影響する可能性があるため、前年の同じ月の発電量と比較することで、事故の前触れを察知できることもあります。
・台風の前後で発電設備をチェック
台風が来る前、台風が通り過ぎた後に、発電設備に不具合がないか確認することも大切です。
パワーコンディショナーや接続箱は、可能な範囲で外観に異常がないか確かめたり、異音・異臭がないかチェックしたりしましょう。
では、発電設備の破損を見つけたらどうしたらいいのでしょうか。
NITEは「自分で対処するのは非常に危険です。けがや感電のおそれがあります」と指摘します。
「自宅の太陽光発電設備の販売店・工務店・メーカーなどを確認しておき、破損があったら迅速な連絡や処置ができるよう準備をお願いします」と呼びかけています。
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