実を長く剥いて乾燥させ加工したものが「カンピョウ」として利用される果実「ユウガオ」。そのユウガオの食中毒事例が6・7・8月と全国各地で立て続けに発生し、厚生労働省も食べてはいけない場合について注意喚起をしました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
6月28日、長野県長野市内で、自宅で栽培した「苦味の強いユウガオ」を食べたことによる食中毒が発生したと、同市が発表しました。
食中毒患者は、自宅で栽培したユウガオを調理して食べた2人で、食べる際に強い苦味を感じたということです。
また、7月23日には、宮城県気仙沼市内の医療機関から<苦みのあるユウガオを喫食し、腹痛、下痢等の症状を呈した患者1名を診療した。>という連絡が気仙沼保健所にあったそうです。
同保健所が調査したところ、7月20日に販売店からユウガオを購入し、22日の夕食に調理して食べた3人が腹痛、下痢などを起こし、うち1人は医療機関を受診していたことが判明したということです。
さらに、8月1日には山形県内の医療機関から<食中毒症状を呈している患者1名を診断した>という連絡が保健所にあり、調査の結果、ユウガオを食べたことによる食中毒と断定されました。患者らは、調理されたユウガオを食べたところ、苦味を感じたということです。いずれも、患者らは快方に向かいました。
このように、苦いものを食べたことで、食中毒が発生しているユウガオ。厚生労働省の食品安全情報のX(旧Twitter)アカウントは、7月31日、「ユウガオによる食中毒事例がありました」と注意喚起しました。
同省は「ユウガオはまれに多量の苦味成分を含む場合があり、腹痛などの食中毒症状を引き起こします」「苦味が強いと感じたら食べず、体調が悪くなったら、すぐに医師の診察を」と呼びかけました。
ユウガオは実を長く剥いて乾燥させ加工したものが「カンピョウ」として利用されるウリ科の植物です。このように、カンピョウに加工する前の状態のものを調理して食べる地域もあります。
同省によれば、観賞用に栽培されるヒョウタンとは同一種で、「ヒョウタンの苦味(ククルビタシン類)の少ない品種が食用のものとして選別されたものがユウガオ」です。
この苦味成分が毒性を持ち、消化器系の中毒を引き起こします。症状は唇のしびれや吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などで、摂取直後から数時間後に現れるということです。
ヒョウタンをユウガオと誤食するケースや、高ククルビタシン含有のユウガオによる中毒もあるとし、「苦味の強いものは接触しない方がよい」と呼びかけます。ユウガオを食べるときには、苦味の程度を確かめる必要があります。