エスカレーターに乗ると流れる「黄色い線の内側に」というアナウンス。この10年で事故が多く発生しており、死亡事例もあるとして、経済産業省や専門機関などが注意喚起をしています。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
国土交通省によると、2010年12月から2023年5月末までのエスカレーターに関する事故は54件、死亡事故も2件ありました。また、東京消防庁によると、同管内で2016年から2020年までの5年間に、エスカレーターの挟まれ事故で21人の乳幼児が救急搬送されていました。
こうした状況を受けて、経済産業省は7月下旬、X(旧Twitter)で「夏になると履きたくなるサンダルにも、事故に繋がる危険性があるんです」「エスカレーターに乗る際は、ステップ端部の黄色い線を踏まないように注意しましょう」として、製品評価技術基盤機構(NITE)の動画を紹介して注意喚起をしました。
NITEによると、子供が履いていた樹脂製サンダルが、エスカレーターのステップと側面(スカートガード)の隙間に巻き込まれ、足の指を骨折するなどの事故が多発しています。
こうした事故は、エスカレーターの乗り方やサンダルの材質等が相互に影響し、発生します。
NITEの実験では、エスカレーターのステップ端部の黄色い線を踏み、樹脂製サンダルの甲部分をエスカレーターの踏段の正面や横の部分に押しつけるように接触させました。
樹脂製サンダルの材質は「滑りにくい」「軟らかい」「伸びやすい」性質を併せ持つ材質でした。また、実際の事故ではエスカレーターに履物が接触した際、動摩擦係数が低下するシリコンオイル等が塗布されていないなど、保守状態が悪かったと言うことです。
NITEは「事故はエスカレーターに正しく乗れば防げます」とし、「エスカレーターの注意表示に従って、正しい乗り降りをしましょう」「子どもがエスカレーターを使用する際には特に注意してください」と訴えました。