海外の寿司屋で“ホワイトツナ(白マグロ)”などとして提供されるネタの正体が、実は食べすぎると「尻から油が漏れ出る」ことで有名な魚だった――そんなエピソードがSNSで話題になったことで、日本国内では長年、毒魚として扱われている魚が注目されています。なぜ尻から油が漏れ出てしまうのでしょうか。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
7月下旬、X(旧Twitter)で「寿司屋でWhite Tunaなるネタを鮪の一種と思って食べた」「今日便に違和感あると思ったら」……という投稿で話題になったのが、深海魚のバラムツです。
厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」によれば、スズキ目サバ亜目クロタチカマス科のバラムツは、同科のアブラソコムツと共に有名な中毒の原因となる魚です。ワックスエステルR1COOR2(単にワックスとも)を豊富に含み、人間はこれを消化できないので下痢を起こすとします。
厚労省の「自然毒のリスクプロファイル」には、バラムツは1970年に、アブラソコムツは1981年に食用禁止となったと記載されています。一方で、同資料では後者のアブラソコムツについて、「肉は美味であるが、食べると肛門から油が滲み出るといわれている」とも紹介されています。
東京都保健医療局によれば、バラムツとアブラソコムツに含まれるワックスエステルを過剰に食べた場合、「18時間から56時間で腹痛や下痢、皮脂漏症※などを起こします」「下痢便は特有の悪臭があり、ひどい場合には脱水症状を起こすこともあります」ということでした。※皮膚から油が染み出す症状
意識しても止められない下痢になることがある一方、どれだけ食べるとそうなるかは人により異なるため、一概には言えません。
「脂がのった大トロのよう」とたとえられ、昔から釣り人の一部に食用とする人がいたり、ネットではいわゆる“食べてみた”といったコンテンツが閲覧できたりしますが、上記のように食用が禁止されている魚です。
海外では“ホワイトツナ(白マグロ)”として提供される魚の中に、バラムツやアブラソコムツが含まれることがあるため、注意が必要です。